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zoom RSS アントキノイノチ (さだまさし)

<<   作成日時 : 2011/11/19 23:25   >>

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満足度5 ★★★★★

幻冬舎文庫
初出版 2009年
読んだ回数 1回








幻冬舎文庫−裏表紙の紹介文

杏平はある同級生の「悪意」をきっかけに二度、その男を殺しかけ、高校を中退して以来、他人とうまく関われなくなっていた。遺留品整理会社の見習いとなった彼の心は、凄惨な現場でも誠実に汗を流す会社の先輩達や同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、ほぐれてゆく。けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り……。「命」の意味を問う感動巨編。


感想、みたいなもの

書店で新刊を物色していた時に目に付いたタイトル、
「アントキノイノチ」。

「な、なんちゅうタイトルじゃ!!」と思い、手にとってみると、
著者は「さだまさし」。

さだまさしが本を書いているのは知っていましたが、このタイトル。さだまさしは猪木ファンなのでしょうか?



それはともかく、私は、「燃える闘魂」アントニオ猪木が大好きで、



さらに、お笑いの「アントキの猪木」も大好きなので、思わず餌に食いついてしまったのでした。

その日は購入しなかったのですが、帰って調べてみると、「遺品整理」というテーマを扱った物語で、今秋の映画公開に先立っての文庫化のようでした。



読んでみたい気はしましたが、他にも読みたい本が山積みの状況で、書店で何度も手にしてはためらっていたのですが、映画の予告編で、「元気ですか〜!」と叫ぶシーンを見てしまったのが運のつき。

「元気ですか〜!」と言われたら、買わないわけには行きません。

つまり、ただのウケ狙いのタイトルではなく、内容的にも、猪木の「元気ですか〜!」をモチーフした部分があるのかないのか、確かめてみたくなったのです。

−−−−−−−−−−−−−−−

ストーリーはシンプルで、心に傷を抱えた杏平が、遺品整理という仕事を通じて、生きる意味を考え、心の傷を修復していくというものです。

「無縁社会」と呼ばれ、「孤独死」のニュースが頻繁に聞かれる世の中ですが、亡くなった人の部屋の整理をし、人生の整理、区切りに立ち会う「遺品整理」という仕事があることを知りました。

疎遠になっていた親族の依頼など、諸事情を抱える裏で、遺族に変わり、住んでいた部屋の遺品の整理を請け負うのですが、
ただ遺品を分類して始末するだけではないようです。

「実際生きてるっつうことはなぁ、すっごく恥ずかしいことなんだ。亡くなった人の部屋、ただ片付けるだけなら、誰にだってできる。でもなあ、それ綺麗に掃除して、その人の良いものだけ残してあげて、亡くなった人の面子護ってやることがさ、おら達の仕事だと思ってるに……。」

これは良く分かります。

「死んでしまったらいいじゃないか」とも思いますが、浮遊霊が成仏できない理由のひとつかもしれない、そんな気もします。

私も生涯独身の予定ですので、死んだら誰が持ち物を処分してくれるんだろうと思ったことがありますが、上の引用で書かれているような、「人に見られたくないもの」のひとつやふたつ、いや、かなりあるわけです。

自分で自分の遺品整理を依頼することもできるようなので、考えておかないと…。

それはともかく、主人公の杏平が働く「クーパーズ」は、実在する遺品整理の会社「キーパーズ」がモデルとのことですが、その仕事の凄まじさ、複雑さといったものを、作品中で垣間見ることができます。

心を揺さぶられるような出来事の連続に、閉ざされてしまった杏平の感情も動きを見せずにはいられなくなります。

ある意味、予想される通りの展開を辿るといえばそうなのですが、ヒネリ過ぎずに自然に読ませ、心に訴えかけてくる文章は、さだまさしならではの感じでした。

さだまさしの歌は、歌詞がひとつのストーリを感じさせるものが多いので、文字を追いながら、メロディを奏でているような雰囲気がありました。

さほどのヒネリもなく、あっさりと読み進みますが、けっこうグッとくる言葉、場面もあり、涙が堪え切れないこともありました。一度、通勤電車の中で涙が溢れそうになった時は本当にヤバかったです。通勤中に読むのは要注意かもしれません。

杏平はともかく、「ゆきちゃん」の過去については、あまり感情移入できなかったし、書き込みが足りない部分もあり、小説の満足度という観点からは、★★★★★というより、★★★★くらいの感じなのですが、ストレートに響いてくるものに対し、気持ち的には★★★★★しかつけられないということでそうしました。

−−−−−−−−−−−−−−−

「元気ですか〜!」については、きちんとテーマというか、モチーフにはなっていると思いました。

特に考えず、普通に「元気ですか?」と挨拶すると思いますが、元気かどうかはとても大切なことです。元気がないならないで、「元気出さないとなぁ。」と思う、その気持ちが必要だと思います。

うまく言えませんが、アントニオ猪木の「元気ですか〜!」というのは、人間の生きる原点というか、「まず、そこから」逆に言えば、「最後の砦」というか、生きる意欲の確認作業みたいなものなのではないでしょうか。

「○○を元気にする」というキャッチフレーズを良く目にしますが、こういうのは大体がインチキです。

猪木は、「元気ですか〜!」と聞いているだけで、「元気を出せ。」とも、「オレが元気にしてやる!」とも言っていません。もちろん、「元気があれば何でもできる!」と続け、「だから元気出せよ!」と言っているのかもしれませんが、そもそも「元気」なんて、何の実体もない、ある意味いい加減な言葉なのです。

さすがの猪木も、4月に被災地を訪れた時は、「元気ですか、なんて言っていのかなぁ?」と躊躇してつぶやいたそうですが、被災者の方たちに、「言って下さいよ。元気ですか〜!」と、逆に言われたという話をTVでしていました。

やはり、元気づけようと思っても、その人が元気を出そうと思わない限り、心は動かないと思います。

テレビ等で、「元気をもらいました。」という表現を耳にしますが、これも私の嫌いな言葉です。

元気は「他人からもらうもの」ではなく、「自分で(振り絞って)出すもの」です。もちろん、「元気(が出るようなきっかけになる何か)をもらった」と言っているのはわかります。しかし、「もらう」という「受身の姿勢」からは、決して元気など出てくるわけはないのです。

言葉の意味を深く考えもせず陳腐な流行言葉を口にする人は、本当に哀れだと思います。



そもそも、「元気な」といった場合、何を指すのかが曖昧ですが、それでも猪木が「元気な日本」と言うと、根拠がなくても、何となくその気にさせてくれるわけですが、



政治家が「元気な日本」とか言うのは、馬鹿以外の何モノでもないと思います。

政治家は、「元気な日本とはどういうことか」を、具体的提示するべきで、「元気」なんていう曖昧な言葉だけで、わかった風な顔をされては、国民はたまったもんじゃありません。

それにしても「菅直人」、本当にこの男はアホでした。

中身のない、その場しのぎの言葉で国民を騙し続けたペテン師、「アントキノイノチ」ならぬ、「カン(菅)ノトキノインチキ」とでも「言うべき、クソ男だったと思います。

話が少しそれてしまいましたが、「アントキノイノチ」なんて、ウケねらいのふざけたタイトルだと思いましたが、「あの時の生命」というタイトルだったら、決して読むことはなかったと思います。

ちょっとアレなタイトルを敢えて付けたのは、ウケねらいと言われてもいいから、多くの人に読んでもらいたいと、さだまさしが考えたからなのかもしれません。

とにかく、ストーリーなど、あまり前知識を入れずに、まずは読んでみると良いと思います。

そして、読み終わってから、自分に向かって「元気ですか〜!」と叫んでみて下さい。

※2016/01/14追記

猪木は国会でも「元気ですか!」とやっていますが、上記の理由で、政治家としてはやめて欲しいです。


−−−−−−−−−−−−−−−



映画のことを書こうと思って公開日を調べてみたら、偶然にも、ちょうど今日(11月19日)から公開でした。

さすがに観に行こうとは思いませんが、予告編を映画の公式サイトで観てみました。

杏平とゆきちゃんは、まあまあのイメージで、変なジャニタレでなくて良かったと思います。

ただ、重要な役である「佐相(さそう)」がネプチューンの原田泰造というのが、チャンチャラおかしいですね。これだけで、観る気は失せました。

こういうことを書くと、「原田泰造の演技について」コメントが入るかもしれませんが、あくまで好き嫌いの問題で、「私は、原田泰造が佐相役の映画は観たくない」ということなので、俳優としての原田泰造がどうだこうだのコメントはご遠慮願います。

予告編で、「元気ですか〜!」のシーンが見られますが、これは、原作より良いのではないかと思います。

原作のシーンの意味もわかるのですが、映画にした場合は、これで良いと思います。もちろん前後の流れがわからないので、断定はできませんが、こういった「映画化に合わせた微修正」はあっても良いと思います。



残念なのは、主題曲がさだまさしではないことです。若い人に観てもらおうとした場合、さだまさしではなくGReeeeNの方がウケが良いのかもしれませんが、やはり、さだまさしの詩とメロディーで表現して欲しかったと思います。

私の好きな、「道化師のソネット」と「主人公」のYouTubeを載せておきます。雰囲気はこんな感じがピッタリではないかと思います。





−−−−−−−−−−−−−−−



文庫の表紙(左)には、映画のシーンがそのまま使われていますが、これは私の最も嫌いなパターンです。

「映画と原作は別物」という説には同意しませんが、関連しているとしても、こういう、原作を侵食するようなことは慎むべき(キャストが多くの人のイメージ通りであったとしても)だと思います。

最近はやりの、本のほとんどを覆ってしまう「帯表紙」とでも呼ぶべき過剰広告帯も嫌いですが、イヤなら外して捨ててしまえば良いのでまだマシです。

単行本の表紙(右)は、柔らかいイラストが良い雰囲気なので、手抜き表紙にするくらいなら、同じ出版社なのだから、そのまま文庫化してくれれば良かったのにと思います。


印象に残った言葉

「ね、“あの時の生命”って、何度も言ってみて。」
「え?……あの時の生命?」
「あの時の生命」
「あの時の生命?」

「そう、あの時の生命って、一人で、口の中でずーっと繰り返してるとね、プロレスの人になっちゃうんだな。」


−−−−−

えーと、ならないと思います。

なったとしても、「プロレスの人」じゃなくて、「お笑いの人」の方だと思いますけど、さださん…。



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
http://yaplog.jp/mimiyoiyoi/
映画も評判いいですよね!
みみ〜
2011/11/28 11:15
★>みみ〜さん
コメントありがとうございます。

映画は感想に書いたように、「佐相さん」の配役が納得いかないので、観に行くつもりはないのですが、映画そのものはわりと良さそうな気がしています。DVDになったらレンタルしてみてもいいかも?
北旅@管理人
2011/12/11 21:29

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