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zoom RSS 晩夏に捧ぐ (大崎 梢)

<<   作成日時 : 2012/06/04 00:08   >>

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満足度2.5 ★★☆

創元推理文庫
初出版 2006年
読んだ回数 1回








創元推理文庫−裏表紙の紹介文

駅ビルの書店で働く杏子のもとに、長野に住む元同僚・美保から手紙が届いた。彼女の勤める地元の老舗書店に幽霊が出るようになり、おかげで店が存亡の危機にあると知らされた杏子は、アルバイトの多絵と共に信州へ赴いた。だが幽霊騒ぎだけでなく、 二十七年前に老大作家が弟子に殺された事件をめぐる謎までもが二人を待っていて……。人気の本格書店ミステリ、シリーズ初長編。

感想、みたいなもの

「本屋の謎は本屋が解かなきゃ」

本屋を舞台に、本屋で働く杏子とアルバイトの多絵のコンビが、本屋で起きる「日常の謎」に挑む、成風堂書店事件メモシリーズの第二弾です。

今回は成風堂から離れ、杏子の元同僚・美保の勤める老舗書店の謎を解くため、信州へ向かいます。

本屋ネタとしては面白く読めたのですが、「配達あかずきん」の路線を2、3作続けてから「番外編」ならわかりますが、まだ路線が確立されていない「配達あかずきん」から、いきなり脱線してしまったかのようで、なぜ作者が2作目でこれを書いたのか、意図がわかりませんでした。

日常の謎を扱うからこそ、多絵という女子大生のカンやひらめきが生きると思うのですが、今回は、27年前とはいえ、紛れもなく「殺人事件」なわけで、それが簡単に解けてしまうのは、かなり無理がある印象でした。

途中の思わせぶりな展開にイライラさせられ、しかも、多絵がどうやって真相に辿りついたかという、謎解きの説明が不十分では、まるでスッキリ感がなく、とにかくミステリーとしてはまるで面白くありませんでした。

ただ、地方の老舗書店の歴史を感じさせる雰囲気、支店の近代的な取り組みなど、本屋ネタの部分はなかなか面白かったです。

私は出張で地方へ行くと、必ずといって良いくらい、地元の本屋を訪ねるのですが、本書にもあるように、その地方出身の作家の特集コーナーがあったり、地方ならではの広いスペースを生かしたレイアウトなど、東京とは違う店の雰囲気を感じることができるのが楽しみなのです。

さすがに「歴史ある老舗の本屋」というのはあまり見かけませんが、こういう本屋もあるのだろうなと、楽しい気分になったことも確かで、文章も読みやすく、最近続いている、途中までは、「ラストが決まれば★★★★★」という期待感が、最後に裏切られるというパターンでした。

★★☆という満足感は、ちょっと厳しい気がしますが、「これはナイ」という、不満感が確実に存在したのでこうなりましたが、ミステリー的な部分にはあまり期待せず読めば、それなりに面白く読めると思います。

−−−

東京創元社のサイト内に、大崎梢さんによる、「ここだけのあとがき」が掲載されています。

書店に注ぐ人々のロマンならば、たくさん詰まっています。憧憬も、羨望も、執着も、祈りも、願いも、喜びや哀しみも。

「地球にやさしく」という標語がありましたが、どうぞ「書店にやさしく」もお加えください。身近に本屋さんのある暮らしを、失わずにいられますように。

『晩夏に捧ぐ』は、つまり、そういう話です。



−−−−−−−−−−−−−−−



「まるう堂」こと「宇津木堂書店」の前にいる杏子と多絵の姿が描かれていますが、「配達あかずきん」の表紙には多絵が描かれていなかったので、これで二人が揃ったことになります。

単行本の表紙(右)は、タイトルにある「晩夏」を思わせるような夕陽を浴びた建物(「まるう堂」のイメージでしょうか?)の写真です。


印象に残った言葉

「丸二時間、本屋をうろつく客というのはいるものでしょうか。」

「は?」

「長時間本屋に居続けるというのは、常識から考えて不自然かと思いまして。」

「どうしてです?」 杏子は質問の意味がわからず聞き返した。


−−−−−

ある容疑者ががアリバイとして、二時間、成風堂にいたといいうので、裏付けの聞き込みに訪れた刑事と杏子の会話です。

刑事にしてみれば、「誰かとしゃべるのでもなく、本だけの場所で二時間も、間が持たない。」ということなのですが、杏子の答えは、

「私なら三時間は軽いですよ。お休みの日によその本屋さんに出かけて、ぶらぶら二、三時間。これといった目的もなく、本屋で過ごすのはしょっちゅうです。」

というもの。

私も、子供の頃から「本屋」が大好きです。

もっと具体的に言うと、「本という、紙のために最適に調整された空間と、そこに漂う紙とインクの匂いが好き」なのですが、とにかく、本屋の空間が心地良く、そこで時間を過ごすのが大好きです。

杏子は三時間といっていますが、私も新宿に行った時は、西口の「ブックファースト」→ 東口の「紀伊国屋」→ 三越の「ジュンク堂」とハシゴして、二〜三時間くらいになることは珍しいことではありませんでした。

ただ、「ジュンク堂」が2012年3月に閉館してしまったので、この「黄金ルート」は、もう辿れなくなりましたが、とにかく、本屋で過ごすのは楽しいことです。

まあ杏子の場合は、書店員として、品揃えの違いやレイアウトの違いなどをチェックするのでしょうが、一般的に考えれば、不思議な「趣味」なのだと思います。

−−−

ちなみにここ数年、店内に椅子が置いてあって、「立ち読み」ではなく、ゆっくり「座り読み」ができるようにしている書店を見かけるようになりました。



前述のジュンク堂もそうですが、私はこのタイプは好きではありません。

見ていると、じっくり時間をかけて読んでいる人も多いようですし、書店によっては喫茶スペースまで用意し、お茶を飲みながら、ゆっくり「座り読み」できるようにしているところもあります。

読まれた本が多少汚れたとしても、書店としては出版社へ返本すれば済むのかもしれませんが、買う方としてはあまり嬉しい話ではないと思います。

本屋は本を買う所。借りて読むなら図書館へ行けば良い。

こういうサービスは、何か、根本的な部分で間違っている。

そう思います。



※ブログ内の関連記事(大崎 梢)

大崎梢 / 著作リスト

(ブックレビュー / 成風堂書店事件メモシリーズ)
配達あかずきん
晩夏に捧ぐ

※関連サイト

Ringo page (大崎 梢 website)
『晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ(出張編)』|ここだけのあとがき|Webミステリーズ!
yoko tanji illustration (丹地陽子公式サイト)
番子帖 (久世番子さんのブログ)


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