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zoom RSS 1Q84 BOOK1 〈4月−6月〉 (村上春樹)

<<   作成日時 : 2012/06/05 21:42   >>

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満足度4 ★★★★

新潮文庫
初出版 2009年
読んだ回数 1回


新潮文庫−裏表紙の紹介文

1Q84年――私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう。青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながらひとりで肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの「シンフォニェッタ」に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語が始まる。


感想、みたいなもの

村上春樹の話題作「1Q84」が、文庫化されたので読み始めています。

2010年4月にBOOK3が出版された時、一部の書店では開店前に店頭ワゴンで売り出すとか、何だかお祭り騒ぎになっていたのを思い出します。

流行りモノは嫌いな私なので、そういう騒ぎを醒めた目で見ていましたが、「文庫になったら読むか。」と思ってから、早いものでもう2年の時が過ぎました。今回の文庫化は、BOOK1〜3まで、3ヶ月連続刊行なので、読もうと思えば一気に読めるのです。

ということで読み始めたのですが、1冊だった単行本が分割され、前編・後編となったBOOK1を読了した段階で感想を問われても、正直、よくわからない。

本来、BOOK1とBOOK2が一緒に刊行されたことからも、文庫の1〜4をひとつの本と考えて、感想を書くべきだとは思うのですが、この時点で一旦まとめておかないと、後で思い出せない恐れが多分にあるので書いているという感じです。

−−−−−

BOOK1は、予備校の数学教師にして小説家の卵である「天吾」と、スポーツインストラクターにして闇の殺し屋である「青豆」の二人の物語が、交互に語られていきます。

読み始めてすぐに気がついたのは、今まで私が読んだ村上作品のような、「人の心をチクチク刺激して不安な気持ちにさせるような、何を言っているのか良く分からない文章」ではなく、ストーリーのある二本の物語となっていたこと。

前編では、二つの物語の関連が掴めなかったのですが、後編からは徐々に、その関連が明らかになってきた…と思ったところでBOOK1は終わりです。長い長い前振りのようなBOOK1でした。

BOOK1で完結しているわけではないので、読後の満足感も何もないのですが、わりと面白く読めたので★★★★としておきます。

どうやら、オウム真理教をイメージしたカルト教団の物語のようですが、この後、どう物語が展開するのか、私の頭では予想もつきません。

最近、「途中までは、★★★★★もあるかなという好感触で読み進めたものの、結末でガッカリ」というパターンが多いので、またそうなるような気もしますが、とりあえずBOOK2までは続けて読んでみることにします。

−−−−−




「1Q84」というタイトルは、ジョージ・オーウェルの小説「1984」に関係しているようです。



「1984」が刊行されたのは1949年で、近未来を描いた小説だったのに対し、村上春樹はその逆に、「近過去」を描こうとしたとのことです。(Wikipediaによる)

先日読んだ「愚者のエンドロール」「毒入りチョコレート事件」に範をとったということで読んでみたように、関連した書物を読むことも辞さない私ですが、村上春樹にそこまでしたくないので、これは読むつもりはありません。

−−−−−

「青豆」は、今まで自分が「こう」だと思っていたことが、いつの間にか変化していることに気がつくのですが、どうも、自分一人だけが「変わった」と思っているようで、回りの人たちは、特に不思議に思っていない。

また、世の中のかなり大きな事件を、自分だけが知らなくて、周りの人たちは、それが起きたことを当然のように認識している。

そんなことから、自分が、微妙に変わってしまった世界に紛れ込んでしまったような気がして、今は1984年ではなく、何かが変わってしまった「1Q84年」と呼ぶことにします。

Qはquestion markのQなのだそうです。

まあ、自分の知らないうちに、世の中の事実が曲げられているというのは、特に珍しいことではなく、

「あれ、八ッ場ダムは建設中止だと思ってたのに、いつの間にの工事が再開されてるの?」とか、

「4年間は凍結とマニフェストに書いてあったのに、どうして消費税率を上げるのが既定路線になってるの?」

みたいなことが現実の世界でも起きているので、私も2012年を、「212(ニー・オー・イチ・ニー)」と呼ぶことにします。

はobjection(異議、反対、不服、拒否)のオーです。



そうそう、1Q84の世界では、夜空に輝く月が、ナント2つあるのですが、



「212」の世界も、太陽が金の環になったり、



穴があいたりする不思議な世界なんですね。

−−−−−−−−−−−−−−−

村上春樹の著作は、文中に多くの具体的な楽曲の名前が記されていて、雰囲気作りに一役買っています。しかし、クラシックやジャズなど、知らないものが多いのですが「村上春樹 音楽大全集」というサイトでは、それらのYouTubeがまとめられているので利用させてもらっています。

私は基本的に、通勤時間を利用して読書をしているのですが、、せっかくこういうサイトがあるのだからと思い、今回は自宅でのみ読むことにし、曲名が登場する度に、聞いてみるという読み方をしてみました。

やってみると、これはなかなか良いではないですか!!

「ああ、こういう曲なんだ。」とわかると、臨場感も高まるし、込められた文意がわかるような気がします。

村上春樹音楽大全集を聞きながらの読書、これはオススメです。

全ての曲については「村上春樹 音楽大全集」をご覧いただくとして、いくつか重要と思われる曲をリンクしておきます。



まず、全編通して基調となっているのが、ヤナーチェックの「シンフォニエッタ」のようなので、これは必聴。読み始めに、コレを聴くと良いと思います。

さて、作者によれば、BOOK1、2の、「青豆と天吾の物語が交互に語られ、1冊が24章になる」という構成は、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』がフォーマットであるとのことですが、『平均律クラヴィーア曲集』というのは、すべての長・短調が用いられた前奏曲とフーガから成る作品集です。

12音階とその長調・短調の全てということで、「世の中の表も裏も全てを網羅した物語」という意味付けなのでしょうか?

とりあえず、第1巻の1.ハ長調の前奏曲とフーガ、2.ハ短調の前奏曲とフーガだけでも聞いておくと、雰囲気が伝わってくると思います。





全編通しで聴きたい方は、「グレン・グールドの演奏」があったのでリンクしておきます。



−−−−−−−−−−−−−−−



表紙は文庫6冊、同じデザインですが、絵の部分にはアルファベットの文字が入っています。これは、登場人物の名前で、BOOK1は、前編が「TENGO(天吾)」で、後編が「AOMAME(青豆)」となっています。

以下、BOOK2前編が「TAMARU」、後編が「FUKAERI」、BOOK3の前編が「USHIKAWA」、後編が「MOONS」で、この絵の部分を6枚つなげると、絵が完成します。



とりあえず、BOOK1の2枚をつなげた絵です。

単行本の表紙(右)は、書店で何度も見た、「Q」の文字が描かれたものですが、シンプルな単行本の表紙の方が、文庫より私の好みです。


印象に残った言葉

「小説家とは問題を解決する人間ではない。問題を提起する人間である。」と言ったのは、たしかチェーホフだ。なかなかの名言だ。

−−−−−

17歳の少女、「ふかえり」と関わることで、自分の心に生じた多くの疑問に対し、天吾が引用したチェーホフの言葉です。

村上作品を読んでいると、何を言わんとしているのか、良く分からないことがしばしばありますが、この言葉を引用したように、村上春樹自身、小説を書くことで問題提起をしていると宣言しているのかもしれません。

天吾はまた、こうも思います。

もしかして、おれはあの子に恋をしているのだろうか? いやそんなことはない。彼女の中にある何かが、たまたま物理的におれの心を揺さぶるだけだ。

同じように、別に村上春樹が好きなわけではなくても、「作者によって小説内にたくさん仕込まれた、読者が勝手に深読みしてしまうような、象徴的と思える事柄、言葉」が物理的に心を揺さぶるだけなのだと思います。

そして天吾は、分かりきった事象も、複雑に考え始めます。

でもそれでは何故、彼女が身につけたパジャマのことがこうも気になるのだろう? どうして(深く意識もせずに)手にとってその匂いを嗅いでしまったのだろう?

「どうして?」って、そんなの、あなたに小児性愛の傾向があるからに決まってるでしょ。

村上作品は、「読んだ人の数だけ解釈がある」と言われるように、(深く意識もせずに)妙に気になったりするのですが、その答えはハッキリしています。

「作者も読者も病んでいるから。」

それで間違いないと思います。



※ブログ内の関連記事(村上春樹)

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1Q84 BOOK1 〈4月−6月〉

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1973年のピンボール
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※関連サイト

村上春樹 音楽大全集
1Q84 BOOK 1 - 村上春樹 音楽大全集
1Q84 BOOK 2 - 村上春樹 音楽大全集
1Q84 BOOK 3 - 村上春樹 音楽大全集


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