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zoom RSS ピタゴラス豆畑に死す (小峰 元)

<<   作成日時 : 2012/06/06 21:07   >>

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満足度4 ★★★★

講談社文庫 
初出版 1974年
読んだ回数 1回








講談社文庫−裏表紙の紹介文

幻の動物ツチノコを求めて大和で変死したセイケンの高校生。死因はツチノコによる咬毒死? 古老はツチノコの祟り説を譲らない。続発する変死の謎を解く鍵は意外や意外、ピタゴラスの定理と江戸小咄にあるというのだが……。
現代の高校生群像を描いては他の追随を許さない乱歩賞作家の青春推理第二弾。


感想、みたいなもの

「アルキメデスは手を汚さない」に続く、小峰元の青春ミステリー第二弾です。

「アルキメデスは手を汚さない」を読んだのは多分、中学性の頃。面白かったので、続けて出版された「ピタゴラス豆畑に死す」の単行本を買いました。

今回、ン十年振りに読んでわかったことは、当時、「ピタゴラス豆畑に死す」を、少なくとも最後までは読んでいないということでした。

私の場合、読んだ本のストーリーを忘れてしまうので、この本も、ツチノコがどうのとか、断片的な記憶しかありません。ただし、読書で得た感銘や読後感というものは覚えているので、今回読了してみて、ラストまでは読んでいないことを確信しました。ということは、ある意味、積読ン十年というわけです。

−−−−−

物語の舞台は、古代ロマンの宝庫、奈良・飛鳥。

巻頭に、文中に登場する地名の、大まかな位置関係を示す地図が載せられているのですが、



壁画で有名な高松塚古墳や、



蘇我氏埋葬説が有力な、「石舞台古墳」などもマッピングされています。

発掘調査により、高松塚古墳の壁画が発見されたのが1972年3月のことですから、この本の書かれた1974年には注目を集めていた場所だと思われ、青春ミステリーの舞台としては、教育的見地?からもふさわしい舞台設定という言い方も出来るでしょう。

−−−−−

そして、そんな歴史ロマンの舞台に登場するのが、ナント「ツチノコ」です。

ツチノコは、「ネス湖のネッシー」や「ヒマラヤの雪男」といった、「未確認生物・動物」の日本代表的存在。

日本全国で目撃例のある「幻の生物」で、その姿は「○ビ」やトカゲに似ているらしく、画像検索するとイメージが掴めますが、私は「○ビ」が大大…大嫌いなので、文字で目にするのもイヤ。画像は勝手に検索して下さい。



個人的には、この程度の絵を載せるのも、かなり無理していますが、胴が太く扁平し、鎚に似た形態なので「槌の子」、古くは縄文時代の土器にも、その姿が描かれているようです。

物語では、ツチノコの捜索中に高校生が死体となって発見される、という事件が起きます。そして、高校生の首筋にはツチノコに咬まれたような跡が残っている…。

「ツチノコ探しなんて、今時、流行らないよな〜。」と思って読んでいたのですが、



新潟県糸魚川市では、平成24年6月9日(土)・10日(日) 7回目の「つちのこ探検隊」が実施され、しかも、ツチノコを見つけると、賞金1億円なのだそうです。

本作の探索でも、「ツチノコを発見した場合、生きていれば100万円、死んでいても10万円」という設定でしたが、そんなことが現実にあって、しかも1億円だなんて、いや〜、驚きました。ハッキリ言って、ツチノコを甘く見ていました。

6月9日と言えば、今週末ではないですか! 我こそはと思う方は、糸魚川市へGO!(私はもちろん行きません。「○ビ」に似た生き物なんて、1億円貰っても見たくもない! いや、1億円貰えるなら…。

本書は、導入部分は、奈良の地名や、登場人物の一人の、「○○でゲス。」という語り口が読みづらく、サクサクとは行きませんでしたが、事件が起きてからは、まずます面白く読めました。



「ピタゴラスの定理」、別名「三平方の定理」ですが、内容を忘れていても、この図を見れば、「ああ、あれか」と、誰でも思い出すことができるくらい有名だと思います。

この「ピタゴラスの定理」が事件を解くカギとなるのですが、ちょっと無理がある感じではありました。

全体を通して、凝っているところもありますが、「それはちょっと…」という点も多く、ミステリー的にはあまりスッキリとした謎解きではありませんでした。

−−−−−



ピタゴラスは、「ピタゴラスの定理で知られる、古代ギリシアの数学者、哲学者」ということですが、タイトルの「豆畑に死す」というのは、あまり知られていない(少なくとも私は全く知りませんでした。)と思うので、調べた内容の概略を書いておくと、

ピタゴラスは、戒律によって「豆を食べること」を禁じられていたのですが、理由は、どうやら、「人間とマメは同じ腐敗物から生まれた兄弟同志である。それゆえ、豆を食べることは、殺人になる」という考えに基づくもののようです。

そんな彼が、ある時、敵に放火され、逃げ出した際、運悪く豆畑に行き当たります。ピタゴラスは、豆畑に進入して豆畑を踏み荒らすよりは、殺された方がましだといって逃走をあきらめ、追いついた敵に咽喉を切られて殺された。


という逸話が残っています。

「豆畑とは何か?」

その、タイトルに込められた意味を問いかけられるラスト。

青春ミステリーならではの、ある意味青臭い、でも、生きて行く上で大切なものが見えてくるような気がしました。

このところ、途中まで面白いのにラストが決まらない作品を読み続けていましたが、この作品は逆に、大して面白いわけではなかったのですが、ラストの数行で深い意味に思い至るということで、最後の着地が決まった分、ひとつ増えて、★★★★となりました。


本作の最後に、寺田寅彦の「ピタゴラスと豆」についての記述がありますが、ネット上にアップされているのでリンクしておきます。短い随筆なので、『本作を読み終えたら』、是非、読んでみることをお勧めします。

ピタゴラスと豆 / 寺田寅彦

−−−−−−−−−−−−−−−



表紙は、「アルキメデスは手を汚さない」同様、イラストレーターの和田誠氏によるもの。

ツチノコ探しの最中に殺された少年?と、ピタゴラスの定理を組み合わせた、シンプルなイラストです。



和田氏と言えば、長年、「週刊文春」の表紙を手掛けられていることで知られていますが、「週刊文春」は1977年からとのことですから、「哲学者シリーズ」の方が先ということになります。


印象に残った言葉

「マメタン」とは旺文社、赤尾好夫の「英語基本単語熟語集」、「シケジュク」とは青春出版社、森一郎の「試験に出る英熟語」。いずれも正式名称では受験生に通じ難い。愛称「マメタン」なら、高校生から定年期のオジサマにまで判る。それでも通じない人は、生涯、受験英語に縁のなかった人であろう。

−−−−−

青春ミステリーだけあって、高校生の日常シーンも描かれているのですが、「マメタン」「シケジュク」とは、何とも懐かしいです。



上記の通り、当時の受験参考書として一世を風靡したのが、「赤尾の豆単」と「試験に出るシリーズ」でした。

先発の「豆単」は、収録単語がアルファベット順だったため、「受験生は、やたらとAで始まる単語に強い」等と言われたものですが、「試験に出るシリーズ」は、アルファベット順ではなく、「試験に良く出る順」「重要度順」というのがウケて、次第に「豆単」を凌駕していったと記憶しています。

その、重要度順の単語の1語目が「intellect(知性)」で、2語目が「conscience(良心)」というのも、今、思い返してみると、示唆に富んでいるというか、何とも象徴的な単語に思えます。

私自身は「出る派」なのですが、大学受験の時に使った参考書は、一緒に戦った「戦友」というか、大切な「武器」のようで、ずっと捨てられなかったので、「出る単」「出る熟」も、部屋のどこか奥の方に今でもあると思います。

ちなみに、私の周りでは、「シケタン」「シケジュク」ではなく、「出る単」「出る熟」と呼ばれていたと思います。

これはもしかして、「マック」と「マクド」みたいな地域の差でしょうか?



※ブログ内の関連記事(小峰元)

小峰元 / 著作リスト

(ブックレビュー)
アルキメデスは手を汚さない
ピタゴラス豆畑に死す

※関連サイト

つちのこ探検隊(新潟県糸魚川市)
つちのこ(ツチノコ) - 未確認生物(UMA) 未確認生物大陸
東京イラストレーターズソサエティ (TIS) 作家 和田 誠


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
初めましてfreedomと申します。この度、「ポケットに文庫本を」様をリンクページにてご紹介させて頂きました。

私は読書一覧ブログという読書内容紹介のホームページを運営しているのですが、もしよろしかったら相互リンクして頂けないでしょうか?

サイト名:読書一覧ブログ
http://shingoonline.blog.fc2.com/

ご検討よろしくお願いいたします。
freedom
URL
2012/11/11 15:39
★>freedomさん
返信が遅くなり申し訳ありませんでした。

リンクしていただくのは自由ですが、いわゆる相互リンクはしておりませんので、ご了承下さい。
北旅@管理人
2012/12/31 17:34

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