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zoom RSS 書店ガール (碧野 圭)

<<   作成日時 : 2012/06/11 21:46   >>

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満足度5 ★★★★★

PHP文芸文庫
初出版 2007年
読んだ回数 1回








PHP文芸文庫−裏表紙の紹介文

吉祥寺にある書店のアラフォー副店長理子は、はねっかえりの部下亜紀の扱いに手を焼いていた。協調性がなく、恋愛も自由奔放。仕事でも好き勝手な提案ばかり。一方の亜紀も、ダメ出しばかりする「頭の固い上司」の理子に猛反発。そんなある日、店にとんでもない危機が……。書店を舞台とした人間ドラマを軽妙に描くお仕事エンタテイメント。本好き、書店好き必読! 『ブックストア・ウォーズ』を改題。


感想、みたいなもの

本屋で文庫の新刊を見ていたら、目に飛び込んできた「書店」ガールの文字。

大崎梢さんの「成風堂書店シリーズ」や、三上延の「ビブリア古書堂シリーズ」が面白かったことから、それ以来「書店」の文字には敏感になっているので、思わず手に取ってしまいました。



作者の碧野圭(あおの けい)さんの名前は、聞いたことがありませんでしたが、「本屋を舞台にした物語」ということで興味があったのと、以前の記事に書いたように、「PHP文芸文庫」を応援する意味で購入しました。

帰宅して調べてみると、碧野さんは、フリーライターを経て出版社に入ったという経歴の持ち主で、きっと、書店員だった大崎梢さんと同じように、書店の内部事情に詳しい方なのでしょう。

作家・碧野 圭 インタビュー

−−−−−

内容は、ペガサス書房・吉祥寺店で働く人たちの物語ですが、まずは、書店員・北村亜紀の結婚式の場面から始まります。

本作は、チョイ役も含め、登場人物の数がかなり多い(ペガサス書房の書店員だけでも、最終的には15人以上が登場)と思うのですが、冒頭の結婚式のシーンから、誰が誰だか覚える間もなく、次から次へと登場させてくるので、とても読みにくかったです。

しかも、重要な人も、そうでもない人も、全員がフルネームで書かれるので、取捨選択ができず、仕方なくメモ帳に名前を記入していき、それを確認しながら読んだのですが、「読者に少しずつ覚えさせる」という配慮が全く無いなという印象でした。

また、亜紀と、亜紀の上司で副店長の西岡理子とは仲が悪いのですが、結婚式のシーンを皮切りに、二人の職場内での話が延々と語られます。

二人ともどっちもどっちなのですが、女同士の陰湿なイヤガラセなどの話が、全体の半分くらいまで続くので、「これはハズレだったかも?」と思いながら読んでいました。

しかし、ペガサス書房・吉祥寺店が閉店になるかもしれないという事態となり、二人の闘いは一時休戦。店の存続のため、売り上げ増を目指すことになります。

「我々は書店なのだから、なにか一発逆転なんて上手い方法はない、と思う。無駄を省き、品揃えをよくして、売り場の置き方を工夫する。接客態度をよくする。それしかないと思う」

こういった話にしても、「こんなにうまくいかないよ」という声があがるとは思いますし、ここからは、まあ、ベタと言えばベタな展開になるのですが、そんなことはどうでもいいのです。作者の言いたいことは、そんなことではないのです。

昨今の出版事情で「リアル本屋」が苦戦し、身近な本屋の閉店を知っては嘆いている私なので、テーマがベタだろうと何だろうと、感情移入せざるを得なかったのです。

何度か書いていますが、私は、本というより「書店の空間」が好きなので、目当ての本がなくても、本屋で時間を過ごすことは珍しくありません。

そうでなくても、本好きならば、自分の気に入った本屋というのはあると思うのですが、私の場合、最も好きな本屋は、昔から即答できます。




芳林堂書店・高田馬場店。

子供の頃からあったと記憶していますが、大学の頃には足繁く通いました。3年前に札幌から戻ってきたのですが、8年も東京を離れていたことから、「こんな時代だから、芳林堂・高田馬場店も、閉店してしまったかも?」と思っていたので、店があったのを見た時は、何とも言えず、嬉しかったことを覚えています。

それからも、もちろん芳林堂は最もお気に入りの書店で、紀伊国屋、三省堂、ブックファーストのような、最近ハヤリの書店のポイントカードもないのですが、おそらく、一番、購入金額の多い書店だと思います。

また、自宅近くに昔からある小さな「本屋さん」の存在も、行動範囲の狭かった子供の頃には大切な存在だと思うのですが、本書には、そういった話も盛り込まれていて、私のツボをバシバシ刺激されてしまいました。

という感じですが、前半部分がイマイチだったのと、展開がベタなので、全ての人にオススメとはいかないかもしれませんが、個人的な満足度としては間違いなく★★★★★、そんな内容の本でした。

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最近の身近な書店の閉店といえば、新宿の「ジュンク堂・新宿店」を思い出します。(2012年3月末閉店)

いつもディスプレイなど、工夫されているなとは思っていましたが、閉店時のフェアは、ネット上でも話題になっていたようです。

「書店が果たさねばならない役割がある」―ジュンク堂新宿店“最後の本気”

私も、最近は本気で本屋のことを考えています。

積読本が多数あり、すぐに新刊を買っても読めないのですが、それでも、文庫の新刊が出れば、すぐに購入するようにしています。

理由のひとつに、最近は重版されず、すぐに絶版になってしまうことが多いのもありますが、やはり、店頭の売り上げに少しでも貢献したいということがあります。

本屋がなくなった世界。

私にとってはオアシスとも言える本屋がないなんて、想像したくもありませんが、それはそれは味気ない世界だと思います。

店がなくなって困るのは自分たちだけじゃない。誰よりお客様に迷惑をかけることになる。ここに来れば嬉しい。ここに来れば欲しい本に出会える。そういう場をお客様から奪ってしまうことになる。書店を失って悲しいという想いを、自分のお客様たちにさせたくはない。

本書でも、閉店で自分たち書店員が職場を失うだけでなく、お客様だってっかりするだろうという、客の想いにも触れられていたことが、本当に嬉しかったです。

好きなものを守るため、これからも「本気で」本を買わないと…。

本屋がなくなるということ (碧野さんのブログより)



−−−−−−−−−−−−−−−



文庫の表紙(左)は、書店の棚を整理する女子店員さんの姿を描いたもので、イラストレーターの野田あいさんによるものです。

赤系統のイラストってあまり見ないような気がしますが、書店の平積みで目立っていたので手に取ってみました。それほど有名でない作家の場合、パッと目を引く表紙というのは効果があるかもしれません。

単行本の表紙(右)は、本を抱えた女子店員の姿ですが、単行本の時はタイトルが「ブックストア・ウォーズ」でした。

文庫化でタイトルが変更になったわけですが、「書店」という文字に、私の目が引かれたことを考えると、正解だったわけです。

まあ、内容的には確かに「ブックストア・ウォーズ」なのですが、本のタイトルって難しいと思います。


印象に残った言葉

「本屋はちゃんとお店があって、紙の本が並んで、店員とお客様がいるからいいんだわ。本屋は本のショールームだもの。本屋で売っているのが、一番素敵に見えるのだもの。」

そうだ、言うとおりだ。電子書籍は本ではない。データだ。本とは別のものだ。本屋はお客様や営業の人や書店員、いろいろな人間がいて、直接会って話したり、時にはぶつかりあって何かが生まれる。本という物を媒介に人と人が繋がっていく。それが書店だ。私が好きな書店というものだ。


−−−−−

例えば、私もamazonで本を買うことがありますが、絶版となった古本を買う以外、新刊の類は絶対に買いません。

もちろん、地方に住んでいる方にとって、amazonは便利で、心強い味方だと思いますが、東京に住んでいる私は、多少面倒でも、「本屋で本を買うべき」だと思うからです。

また、最近は電子書籍の話題をニュースで見ることも多くなりました。電子書籍は「データ」ですから、今後は音楽CDと同じように、レンタルされ、コピーもできるようになっていくのでしょうか?

でも私は、CDならぬLP時代の人ですから、本の表紙にコダワルのと同じように、ジャケットにも愛着があります。

ですから好きな歌手のCDをラックに飾りながら曲を聴きたいと思うので、どうしても購入してしまうことが多くなります。

まあ、そういう気持ちは古いのでしょうし、結局のところ、世の中の流れは「ネット書店」「電子書籍」へ傾いていくのだと思いますが、最後の一人となっても、私は抵抗していくつもりです。



※ブログ内の関連記事

碧野 圭 / 著作リスト

(ブックレビュー / 書店ガールシリーズ)
書店ガール
☆ 書店ガール2 最強のふたり
☆ 書店ガール3 託された一冊

※関連サイト

めざせ!書店訪問100店舗 / 碧野圭のブログ

東京イラストレーターズソサエティ (TIS) 作家 野田あい
野田あい個展 「タビノカケラ」
あの人に会いに@ 野田あいさん・インタビュー(母の友でゆっくり子育て

「書店が果たさねばならない役割がある」―ジュンク堂新宿店“最後の本気”
ジュンク堂書店 書店員の本気 ジュンク堂新宿店リバイバル
もうすぐ閉店の新宿「ジュンク堂」がすごい 面白いネタのブログ-Fun!

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
お久しぶりです。最近、更新されていないので心配してます。
先日、この「書店ガール」読み終わりました。前半、ちょっとだらける雰囲気はありましたけど、最後まで読んで良かったと思えましたし、面白かったです。
紹介していただき、ありがとうございました。
DONA
2012/09/06 10:41
★>DONAさん
返信が遅くなり申し訳ありませんでした。

この本を読んで、書店が好きな自分を再確認しました。物語としては突っ込みどころもあるのですが、本(屋)好きの気持ちを代弁しているところが良かったです。

DONAさんが、書店に行くと疲れが取れると書いていましたが、全く同感です。やはりあの空間は何物にも変えがたい、安らぎの空間だと思います。
北旅@管理人
2012/12/31 17:13

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