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zoom RSS ススキノ、ハーフボイルド (東 直己)

<<   作成日時 : 2014/01/12 08:14   >>

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満足度4 ★★★★

双葉文庫
初出版 2003年
読んだ回数 3回








双葉文庫−裏表紙の紹介文

松井省吾は高校3年生の受験生だ。夜のススキノで働く真麻という素敵な彼女もいる。客引きのアキラさんや土建屋社長の千葉さんなど友人も増え、最近ようやくススキノが“自分の街”になってきたところだ。――夏休みに入ったばかりのある日、クラスメイトの勝呂麗奈が覚醒剤所持で警察に捕まった。暴力団の組長である森野という男と一緒だったらしい。なんとか助けだそうとするクラスのおせっかい女子らの活動に、省吾はむりやり巻きこまれ……。
青春ユーモアハードボイルド。

感想、みたいなもの

東直己の主要なシリーズものとしては、

ススキノ便利屋「俺」シリーズ
探偵畝原シリーズ
榊原健三シリーズ

の3つが挙げられると思いますが、同じ作家が、複数のシリーズを書いている場合、それぞれの登場人物が、別のシリーズに顔を出すという例が、時々見られます。

東直己も、そのような「お遊び」が好きなようで、これまでも健三シリーズに「俺」が登場したりとしたことがありました。

しかし、「ススキノ、ハーフボイルド」から始まる物語は、「お遊び」の域を完全に超えた、別シリーズで構成される三部作となっています。



「ハーフボイルド三部作」 左から
1.「ススキノ、ハーフボイルド」
2.「駆けてきた少女」 (俺シリーズ)
3.「熾火」 (探偵畝原シリーズ)


ハーフボイルドシリーズは、続編として「後ろ傷」(文庫化の際に、「ボーイズ・ビー・アンビシャス」と改題)が発表されましたが、その後、新作の発表はなく、シリーズと呼ぶには微妙ですが、東直己の人気シリーズである「俺」と「畝原」を結び付ける三部作の要として、東直己ファンには人気があります。

この作品が発表された時点で、すでに「俺」5作、「畝原」3作の長編が発表されていましたが、「ハーフボイルドシリーズ」は、これが最初の作品でした。タイトルの「ハーフボイルド」というのは、いわゆる「ハードボイルド(固ゆで玉子)」を気取っているが、まだその域には及ばない未熟者(半熟)、という意味で使われていますが、それもそのはず、主人公は松井省吾という高校三年生なのです。

省吾は札幌の有名進学校に在籍しているのですが、同級生の女子が、覚せい剤所持で逮捕されるという事件をきっかけに、ストーリーが展開していきます。

省吾は表紙に描かれているような、硬派というよりは、わりと優しい感じの美少年というイメージですが、頭が良く、受験勉強もソツなくこなしつつ、ちょっと背伸びした感じでススキノを飲み歩き、水商売の女性ともよろしくやっています。

私の場合、高校時代に飲み歩くなんてことはなかったので、ちょっと別世界な感じですが、おそらく省吾のモデルは若い時の東直己自身なのfrはないかと容易に想像できます。

この作品中には、「俺」が登場しますが、「俺」にしても東直己自身がモデルのイメージがあるので、「俺」と「省吾」の遭遇する場面は、そういう意味でも面白かったです。

三部作ということで、三冊読破しないと何となく腑に落ちない部分もあるのですが、一応、この作品だけでも楽しめると思います。

特に男性ならば、思春期の背伸びした感じ、「ハーフボイルドさ」が、確かに自分の中にも存在していたと、懐かしく思えるのではないでしょうか。まあ、私の場合はかなり奥手だったので、シンクロする部分は高校時代ではなく、大学の頃の思い出でしたが…。

一応、省吾の同級生の女の子も数人登場しますが、その年頃の女の子の心理がきちんと描かれているかは微妙だと思います。元々、東直己作品自体、男性向きのものが多いと思いますが、この作品は特にそうかもしれません。

まだ続編の「後ろ傷」を読んでいないので何とも言えませんが、大学を卒業し、大人になった省吾での作品が期待されます。

あと、ちょっと気になったのが、文庫の紹介文で「青春ユーモアハードボイルド」と書かれていることです。本書は、確かに「ハーフ」かもしれませんが、結構、真面目にハードボイルドしていますし、「ユーモア」的な書き方はしていないと思うのですが…。

−−−−−−−−−−−−−−−

省吾はススキノの水商売の女性(もちろん年上)と付き合っているのですが、この女性の名前が真麻(まあ)。

真麻といえば…。



過去に読んだ時は何とも思いませんでしたが、今回の再読では、真麻の字を見て、タレント(アナウンサーとは言いたくない)の高橋真麻の顔が思い浮かびました。

フリーになってからは、父親の高橋英樹と、バラエティーに頻繁に出演するようになり、あまりテレビを見ない私も、さすがに知っています。アナウンサー時代の印象なんて全くないのに、本当に「バラエティー恐るべし!」です。

こっちの真麻は「まあさ」ですが、字面が一緒なので、完全にシンクロして困りました。ただ、高橋真麻自身、水商売っぽい顔をしているので、イメージ的には、作中の「真麻」に近いものがあったので助かりましたが、これが全くイメージが違っていたらどうだったかと思うと、ゾッとします。

これだから、いつの間にか洗脳されてしまうテレビ、その中でも特にバラエティーは嫌いなのです。

ちなみに、最近の高橋英樹は娘と一緒に、チョット出過ぎですね。役者がバラエティーに出て、良いことなんかひとつもないと思っていますが、特に時代劇やる人は、チョンマゲなのに、バラエティーでアホやっている姿が浮かび、本当に興ざめです。マツケンサンバで浮かれていた松平健同様、私の中では、「終わってる時代劇俳優」です。

−−−−−−−−−−−−−−−



文庫の表紙は単行本(右)を踏襲した形で、松井省吾が描かれています。私はこのピンクの文庫を持っていますが、すでに絶版で、久しく本屋の店頭で見ていませんが、例のクソ映画で東直己の名前が一般にも認知されたことで、ブームに乗れ?とばかりに表紙を変えて再版されました。

再版された文庫の帯には、「某泉某主演で話題の映画」とかナントカ書かれていますが、ケッという感じです。

「俺」の映画化には本当に迷惑していますが、唯一、本当にたったひとつだけ良いことがあったとすれば、「ススキノ・ハーフボイルド」が復刊され、ナ、ナ、ナント、続編の「後ろ傷」までもが文庫で出版されたことでしょう。

映画化がなければ決して文庫化されなかったと思うので、続編が文庫で読めるのは嬉しいことなのですが、ネットで調べてみると、内容がかなり変えられているらしいことがわかり、結局、単行本の「後ろ傷」も、古本で購入しました。なので、「めでたさも中くらいなり、おらが春」という感じです。



それにしても、このススキノの夜景を写した再販版の表紙ですが、ホント手抜きと言うか、何と言うか、全く本書の内容をイメージできない陳腐なものだと思います。

あと、細かいことですが、「ススキノ、ハーフボイルド」だったタイトルが、新装版では「ススキノ・ハーフボイルド」に変わっていることに気がつきました。今回、私も新装版を読んだので、うっかり「、」ではなく「・」で記事をアップしてしまいましたが、何となく違和感を覚え、ようやく気がついたので訂正しておきました。

でも、これって、意図的に変えたのではなく、双葉社の編集担当が、「、」に気がつかずに「・」にしてしまったようなニオイがします。

まあ、東直己ファンとしては、何とか気がつくことができて良かったです。それにしても、アブナかった…。


印象に残った言葉

北海道における北海道大学の位置は、少なくとも、道民が抱くイメージでは、実際よりも遥かに偉大なもので、普通の北海道人の世界観の中では、日本の最高学府は当然ながら東大で、その次に位置するのが北大なのだった。

その大学ランキングの中には、京大も阪大も東北大学も存在しない。それに、早稲田慶応上智クラスの名前は普通の道民も知ってはいるが、それらは「私立」であって、明らかに東大や北大よりは格下、という扱いを受ける。

北海道の「官依存体質」、官尊民卑感覚は強固なもんだ。事実がどうあれ、普通の道民は、そのような世界観の中で生きている。なにしろ、最大の地場産業が、公共事業、という島だから。


−−−−−

省吾は受験生ですが、志望大学は北大一本です。その省吾が、北海道における北大の存在について語るシーンですが、ここを読んだ時、「やっぱりそうなんだ!」と思ったことを覚えています。

私は東京生まれの東京育ちですが、東京に限らず、おそらく日本全国どこに住んでいても、日本の大学の中でナンバーワンの存在は東京大学だと思われているのではないかと思います。

しかし、札幌で暮らすようになってから、北海道での北大の位置は、ヘタしたら、東大以上に、絶対的な存在として扱われているような印象を持ちました。

偏差値が全てではありませんが、全国の大学の評価をランキングした場合、(学部にもよりますが)北大はさほど上位というわけではないでしょう。しかし、道内では、「北大卒」というだけで、ある種絶対的なものがあるようです。

その正体が、東直己の言うように、「官依存体質」なのかはわかりませんが、省吾の言うように、「東大は仕方ないとして、その次は北大で間違いない。」というか、「この二つ以外の大学なんて知らない。」という雰囲気が北海道には確かにありました。



※ブログ内の関連記事(東直己)

東直己 / 著作リスト

(ブックレビュー / ハーフボイルドシリーズ)
ススキノ、ハーフボイルド

(ハーフボイルド三部作)
ススキノ、ハーフボイルド
駆けてきた少女
熾火


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