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zoom RSS 熾火 (東 直己)

<<   作成日時 : 2014/01/22 00:28   >>

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満足度4 ★★★★

ハルキ文庫
初出版 2004年
読んだ回数 2回








ハルキ文庫−裏表紙の紹介文

私立探偵・畝原は、足許に突然縋りついてきた少女に驚きを隠せなかった。彼女は血塗れで、体中が傷ついていたのだ―。言葉も発することなく意識を失った少女。だが、収容先の病院で、少女を狙ったと思われる人物たちに、畝原の友人・姉川が連れ去られてしまう。何かを隠すような警察の捜査と少女の疵跡は、何を意味するのか。姉川を救うため、畝原は恐るべき犯人と対峙する。傑作長篇ハードボイルド。


感想、みたいなもの

「探偵畝原シリーズ」の長編第四作目にして、「ハーフボイルド三部作」の最終章。



「ハーフボイルド三部作」 左から
1.「ススキノ、ハーフボイルド」
2.「駆けてきた少女」 (俺シリーズ)
3.「熾火」 (探偵畝原シリーズ)



「ススキノ、ハーフボイルド」から始まる三部作のトリを飾るのが、「熾火」です。

「ススキノ、ハーフボイルド」と「駆けてきた少女」が物語の表裏的な、密接な関係だったのに対し、「熾火」は、後日談的な話で、直接、登場人物が絡み合うことは、ほとんどありません。

また、「駆けてきた少女」が、「ススキノ、ハーフボイルド」とセットで読んで初めて完成する作品だったのに対し、「熾火」は、これだけ単体で読んでも特に問題はありません。というよりも、三部作と言われていても、さほど深い繋がりはなく、読み終わって、ああそういうことなのか、と思う程度です。

ただし、物語のテーマである「北海道(警察)の不正、腐敗」という点に関しては、「駆けてきた少女」の続編という感じで、作者の感情が継続し、さらに強く爆発しているようです。

三作品の発表時期は、

ススキノ・ハーフボイルド(2003年7月)
駆けてきた少女(2004年4月)
熾火(2004年6月)

ですが、今では誰もが知ることとなった、「北海道警察の裏金事件」が発覚したのが2003年11月で、そのきっかけとなった北海道警察による「やらせ捜査」などが明るみになった「稲葉事件」が2002年7月と、当時の北海道の不正、腐敗に対して積もり積もった作者のうっぷんが、一気に爆発した作品だったと言えるでしょう。

実際に私も、その当時には札幌に住んでいたわけですが、段々と北海道の体質というものがわかり始めてきた時だったので、このような事件が起きても、特に驚きはなかったことを覚えています。しかしそれよりも、北海道の「自浄能力のなさ」が想像以上で、「フロンティア・スピリッツ」的な北海道とのイメージギャップにうろたえたことの方が強く印象に残っています。

今では冷静に「北海道」を分析・理解できますが、当時は、ちょっとショックでした。

−−−−−

さて今回も、引き受けた仕事をきっかけとして、畝原が大きな犯罪に巻き込まれていくという、いつものパターンで物語は始まります。

北海道警察の不祥事に幼児虐待がからみ、さらには、「待っていた女」で知り合い、以後、畝原と微妙な関係となった「姉川女史」が連れ去られるという緊急事態も加わり、読んでいて息苦しいくらいの緊張感を保ちながら一気にクライマックスへと進みます。

そういう意味では、読んでいて退屈するという感じはなく、全二作のからみもチラホラ見え隠れして、文字通り一気読みだったのですが、読み終わってなお、この事件は、結局、誰が首謀者で、何のためのものだったのかと考えると、良く分かりませんでした。

畝原シリーズは、「俺シリーズ」に比べ、事件の起承転結がハッキリしていて、探偵小説っぽいのですが、どうも、この作品あたりから、猟奇的な部分が強くなり、ちょっと、私の期待していたものとは方向性が違ってきたような気がします。

読み終わってのモヤモヤ感を、解説では、

このシリーズでは、謎や事件がかならずしも明確に解き明かされることのないまま終わる場合も少なくないが、いくらマスコミや警察に知り合いがいる主人公とはいえ、一人の中年男の視点で描かれている以上、すべてを知ることはできない。裏を返すと、その現実感が作品の面白さに繋がっている。

というように「魅力」であると庇っているのですが、それは苦しすぎると思います。

あくまでも「フィクション」であるからには、事の顛末をきちんと示すことは必要だと思います。もちろん、あいまいな部分を残し、その解釈を読者に委ねるというのもアリですが、「何がどうしてどうなった」という部分は、きちんと書いて欲しいと思います。

一気に読ませるという意味では★★★★なのですが、読後のスッキリ感はイマイチな作品だと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−



熾火とは、「薪が燃えたあとの赤くなったもの」のことですが、表紙は、文庫(左)、単行本(右)共に、捻りも何もない、そのままの「熾火」が描かれています。

う〜ん。イマイチですね。

元々、畝原シリーズの表紙は、他のハルキ文庫同様、面白みに欠けるのですが、デザインを微妙に変える以外、もう少し、何とかならなかったのでしょうか?


印象に残った言葉

特になし



※ブログ内の関連記事(東直己)

東直己 / 著作リスト

(ブックレビュー / 探偵畝原シリーズ)
待っていた女・渇き
流れる砂
☆ 悲鳴
熾火

(ハーフボイルド三部作)
ススキノ・ハーフボイルド
駆けてきた少女
熾火


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