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zoom RSS ボックス! (百田尚樹)

<<   作成日時 : 2014/01/25 12:40   >>

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満足度5 ★★★★★

講談社文庫
初出版 2008年
読んだ回数 1回


講談社文庫−裏表紙の紹介文

天才的なボクシングセンス、だけどお調子者の鏑矢義平と、勉強は得意、だけど運動は苦手な木樽優紀。正反対な性格の幼なじみ二人が恵美寿高校ボクシング部に入部した。一年生ながら圧倒的な強さで勝ち続ける鏑矢の目標は「高校3年間で八冠を獲ること」。だが彼の前に高校ボクシング界最強の男、稲村が現れる。

稲村に勝つため、階級転向を希望する鏑矢。しかし監督はそれを認めない。一方、優紀は「いつかカブちゃんと戦いたい」その一心でデビュー戦に向けた練習を重ねていた。選抜予選大会3日目、ついに鏑矢と稲村の対戦が始まる。そして幼なじみ二人がグローブを重ねる瞬間がやってくる。圧倒的青春小説決定版。


感想、みたいなもの

「永遠の0」の映画公開に合わせて、百田尚樹のコーナーが設けられていた中で見つけた1冊、いや2冊。

コーナーに並べられた本を見ていると、何故か、先日読んだ「黄金のバンタムを破った男」があるではないですか。「黄金のバンタム」はノンフィクションなので、誰が書いたものか気に留めなかったのですが、作者はなんと百田尚樹でした。

百田尚樹の本は読んだことがありませんでしたが、何となく名前には記憶がありました。ただ、私は「ももた」だと思っていたのですが、「ひゃくた」だったんですね。



百田尚樹は、元々は放送作家で、50歳の時に「永遠の0」を書いて、作家デビューを果たしたということです。

そして「黄金のバンタム」の横に、ボクシングのグローブが表紙の「ボックス!」があり、どうやら、これはボクシング小説のようです。「黄金のバンタム」で、百田尚樹のボクシング知識は間違いないと分かっているので、そんな作家が書いたボクシング小説が面白くないはずがないと、期待して購入しました。

私は、堂場瞬一等の、スポーツ小説も好きですが、そういえば、ボクシングがテーマのものは記憶にありません。漫画では、「あしたのジョー」など、たくさんの作品があるのに意外な気がします。



ちなみに私の好きな漫画は、「がんばれ元気」で、ラストシーンを思い出すと今でもウルッときます。

−−−−−

このようにして購入した「ボックス!」ですが、「積読」になるケースが多い私としては珍しく、帰宅して早々に読み始めたのですが、これが期待を裏切らない面白さでした。

主人公の二人は、幼なじみ。運動能力抜群で、ケンカも強い鏑矢義平(カブちゃん)と、勉強は得意だが運動はからっきしダメな優等生タイプの木樽優紀(ユウちゃん)。偶然ですが、幼なじみで正反対のキャラというと、この前に読み終わった「隠蔽捜査」と同じ設定ですね。

優紀は強くて頼りになるカブちゃんに憧れの念を持っていますが、自分がボクシングをやるとは思ってもみなかったのですが、「ある理由」から、自分もボクシングを始めます。

この「ある理由」というのが、男なら分かり過ぎるくらい単純な理由なのですが、「ある理由」を成就させようとする場面では、思わず手に汗握りました。

こうして、幼なじみの二人が、ボクシングを通して競い合い、やがてクロスしていくのですが、「天才か努力か」という、ありがちなテーマにもかかわらず、それに友情、思春期の恋心等々が絡み合って、大いに楽しめました。

冒頭のシーンから、一気に引き込まれ、その後は、先が読めそうで読めない展開が気になって、上下巻をほぼ一気読み。結末は予想というか、期待と言うか、イメージしていたものと違ったので、読み終わった時はちょっとはぐらかされた気がしました。

実は、深夜に読み終え、そのまま寝たのですが、物語に加え自分の想像部分が夢で展開され、翌日起きたら、じわーっつと感動が襲ってきました。

うん、これはこれでいいかもしれない。

単純なサクセスストーリーではない、紆余曲折のある成長物語を感じることができると思います。

−−−−−

私は昔からボクシングを観るのが好きで、ある程度はルールや技術的なことも理解しているつもりですが、物語は、高校生のボクシングでということで、当然のことながらアマチュアボクシングです。何となくは知っていましたが、プロの試合と比べ、かなりルールが違うんですね。



作者の百田尚樹は、自分でも学生時代にボクシングをやっていたこともあり、かなり詳しく、しかしボクシングを知らない人でもわかるように丁寧に説明しながら物語を進めてくれます。

登場人物の一人に、ボクシングは全くの素人なのに、ひょんなことからボクシング部の顧問を引き受けることになった高津耀子という女性教師がいるのですが、主に、彼女の疑問に、ボクシング部の監督が説明するという形がとられます。この形式は、だらだらと説明だけの文章にならず、必要な場面で必要な説明が加えられるので、自然な形で理解が進みました。

また、先に、「ボクシング漫画はたくさんあるのに、小説は少ない」と書きましたが、そもそもスポーツ自体、文章で説明する対象としては、難度が高いと思います。

野球のように、1球1球、進行するようなものは、そこをゆっくり書いていくこともできますが、攻防一体のボクシングのようなスピード感が高いものは、漫画ならばともかく、かなりむずかしいのではないかと思います。

しかし本作品の試合のシーンなどは、次にどのパンチがくるのかという緊張感、臨場感のある筆致で、ボクシング好きはもちろんのこと、ボクシングを知らない人でも楽しめると思います。

−−−−−−−−−−−−−−−



文庫の表紙です。

上巻がボクシンググローブで、下巻が校庭を書ける生徒の姿なのですが、何だか、上下の繋がりも感じられないし、内容を伝えてもいないということで、これはダメですね。これだけ見たら、買わずに見逃したと思います。



単行本は、また別の意味で良くありません。シンプルなだけで、やはり内容が伝わってこないし、どうしてこういう表紙をデザインするのか、私にはわかりません。

「内容は良かったけど、表紙はイマイチだなぁ。」と思っていたところ、ナント、講談社の文庫が出る前に、単行本を出していた太田出版からも文庫が出ていました。



上巻(左)が鏑矢義平で、下巻(右)が木樽優紀だと思いますが、文中で、「風のよう」と形容された鏑矢のイメージが良く表現されていると思います。木樽優紀の真面目な雰囲気もあり、どちらも良い表紙だと思います。これがあることを知っていたら、講談社のものなんて買わなかったのにと、悔やまれます。



また、「ボックス!」は漫画にもなっていて、全5巻が出版されています。その中で、鏑矢と木樽が表紙のものを並べてみましたが、太田出版の表紙とイメージが似ている感じです。



さらに「ボックス!」は映画化もされていましたが、この二人の雰囲気も、文庫や漫画の表紙と共通したものがあり、読んだ印象とも近いのではないかと思います。私の嫌いな、ジャリタレやお笑いタレントによる、イメージ無視の強引なキャスティングはないようなので、機会があれば、ちょっと観てみたい気にさせるものでした。


印象に残った言葉

試合は1ラウンドわずか数十秒で終わった。耀子は風を見たと思った。気が付けば体が小さく震えていた。

何なのこれは?

耀子はしかしこの心と体の震えを感動とは思いたくなかった。こんな野蛮な殴り合いを見て感動するはずがない。――ただびっくりしただけよ、と自分に言い聞かせた。


−−−−−

高津耀子が初めてボクシングの試合を観に行き、鏑矢のRSC勝ちを目撃した時の心の動きです。

プロの試合をTVで観ていて、瞬間、何が起こったのかわからずに、選手が倒れる。

スローで見て、一瞬のうちに何発ものパンチが打ち込まれているのを確認したりすると、戦慄と共に心を揺さぶられるのを実感します。ボクシングは、確かに「殴り合い」ですが、研ぎ澄まされた攻防は、まさにスポーツの感動、それも超一級の感動が味わえます。

私もスポーツをするのは好きですが、ボクシングの経験はありません。身体も特に大きくはないので、基本的に格闘技系のスポーツは苦手ですが、そのためか、ボクシング選手には、ある種の敬意を抱いています。自分の拳だけを頼りに強い相手に向かっていく勇気は、勇気なんて言葉では言い尽くせないような決意が必要だと思うからです。

そんな男と男の勝負なのに、弱い相手としか戦わない、某亀田兄弟から何の感動も得られないのは当然のことだと思います。



※ブログ内の関連記事(椎名誠)

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ボックス!

※関連サイト

ボックス! BOX! Official Web / 太田出版


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