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zoom RSS ビブリア古書堂の事件手帖 5 (三上 延)

<<   作成日時 : 2014/01/30 13:40   >>

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満足度5 ★★★★★

メディアワークス文庫
初出版 2014年
読んだ回数 1回








メディアワークス文庫−裏表紙の紹介文

静かにあたためてきた想い。無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。彼女の答えは―今はただ待ってほしい、だった。ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。謎めいたいわくに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。脆いようで強固な人の想いに触れ、何かが変わる気がした。だが、それを試すかのように彼女の母が現れる。邂逅は必然―彼女は母を待っていたのか? すべての答えの出る時が迫っていた。


感想、みたいなもの

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ」第五弾。

「母恋旅烏」を読み終え、明日から「ビブリア古書堂の事件手帖」を読もうと思いつつチラ見をしたら途中でやめられなくなり、結局第一話を読み終えてしまいました。

これはマズイ。前作から1年近く待たされたのに、一気に読んでしまうのは勿体ない。ゆっくり音楽でも聞きながら少しずつ読みたいということで、やむなく本を閉じたものの、翌日に第二章、そしてまた翌日に第三章と、あっという間に読み終えてしまいました。

人気シリーズも五作目なので、マンネリ化しても不思議ではないのですが、そんなこともなく、今回もどっぷりと「ビブリア古書堂」の世界に浸ることができました。

そろそろ物語も終盤に差し掛かり、栞子さんと母の関係がどうなるのか、ストーリーの結末も気になりますが、今時珍しい「もじもじ恋愛」進行中の栞子さんと大輔の関係も気になるところ。

ふと思ったのですが、こういう、絶滅危惧種的な「慎重な恋愛」というのは、今の若者にはどう映るのでしょうか?

私のような年代には、今は、「とりあえず付き合っとけ」みたいな雰囲気を感じるのですが、私の若い頃は、気に入った本を大切にするように、簡単には付き合わないし、簡単に別れたりもしない、そんな時代だった気がします。(私が奥手だっただけ?)

物語も恋愛も、ゆっくりとした時間の中で進行する、そんな雰囲気も、古都鎌倉だから許されるのでしょうか。

−−−−−

さて今回も、今までと同じように、本にまつわるエピソードが短編仕立てで語られ、徐々に大きな物語を紡いでいくというスタイル。

ということで、本作で用意された古書は、以下の通りです。

プロローグ:リチャード・ブローティガン 『愛のゆくえ』 (新潮文庫)

第一話: 『彷書月刊』 (弘隆社・彷徨舎)

断章T:小山清 『落穂拾ひ・聖アンデルセン』 (新潮文庫)

第二話:手塚治虫 『ブラック・ジャック』 (秋田書店)

断章U:小沼丹 『黒いハンカチ』 (創元推理文庫)

第三話:寺山修司 『われに五月を』 (作品社)

断章V:木津豊太郎 『詩集 普通の鶏』 (書肆季節社)

エピローグ:リチャード・ブローティガン 『愛のゆくえ』 (新潮文庫)


今回の特徴として、各章の後に「断章」として、通常の「語り手」である大輔以外の人の視点で語られる部分が加えられています。

ある意味、ここの部分が謎解きなのですが、ひと捻りあって新鮮でした。そして、いつものように「プロローグ」と「エピローグ」もあります。「エピローグ」を読んだら、最初に戻って「プロローグ」をもう一度読めば、本作の味わいが増すことでしょう。

−−−−−

毎回、初版本、○○文庫版といった、「版」についての記述が出てきますが、今回は特に、第二話の 『ブラック・ジャック』が印象的でした。

古書の場合、「どの出版社のどの版か」ということがコレクターには重要になってきますが、コレクターでなくても、自分が手にしていたのが、どの表紙のものだったかといったことで共有感を持つことや、世代による時の流れを感じたりすることができます。

そういう意味でも電子図書は味気ないですね。電子図書に「版を重ねる」なんてあるのでしょうか。いずれにせよ、貸し借りをしたりしてお互いに読んでいた同じ本が思い出の品になるといったことはないでしょう。

作品の中のワンシーンに次のような記述があります。

「栞子さんは古いチャンピオンコミックスの一巻を手に取って、ぱらぱらとページをめくっていく。どこか懐かしい、紙の匂いが立ち上った。」

私は、一度手にした本はずっと捨てないで取っておきます。もう一度読みたくなった時にすぐに読めるようにしておきたいからですが、新しい本で読みたいものがたくさんあるので、再読する機会はそれほど多くはありません。

しかし、本にはそれを読んでいた時の思い出が凝縮され、空気感として一緒に頁の間に保存されています。

昔の写真を見ると当時のことが思い出されるように、昔読んだ本を開くと、少し古くなった紙の香りとともに、同じような気持ちになる、そういうことは確かにあります。

そんなアナログな感覚が好きなので、私は紙の本を買うのです。

−−−−−−−−−

各話には、タイトルに示された以外にも数多くの本が登場しますが、古書が多いので、読んだ方、これから読む方のイメージ作りの参考になるように、いつものように、各話ごとに表紙を並べておきます。

ただ、この表紙のものが、ズバリ、文中に登場する本かどうかは保証の限りではありませんので、悪しからずご了承願います。

プロローグ:リチャード・ブローティガン 『愛のゆくえ』 (新潮文庫)


◇ リチャード・ブローティガン 『愛のゆくえ』 (新潮文庫)


第一話: 『彷書月刊』 (弘隆社・彷徨舎)


◇ 『彷書月刊』 (弘隆社・彷徨舎)
◇ 『日本古書通信』 (日本古書通信社)


◇ ロジェ・カイヨワ 『石が書く』 (文藝春秋)



◇ 甲賀三郎全集 『甲賀三郎全集』 (湊書房)


◇ ジョルジュ・バタイユ 『ジョルジュ・バタイユ著作集』 (二見書房)


◇ 生田耕作 『生田耕作コレクション』 (白水社)


◇ 『東京人(神田神保町特集号』 (都市出版)


◇ マルセル・エーメ 『他人の首 月の小鳥たち』 (東京創元社)


断章T:小山清 『落穂拾ひ・聖アンデルセン』 (新潮文庫)


◇ 小山清 『落穂拾ひ・聖アンデルセン』 (新潮文庫)


第二話:手塚治虫 『ブラック・ジャック』 (秋田書店)


◇手塚治虫 『ブラック・ジャック(全25巻)』 (秋田書店)


◇手塚治虫 『ブラック・ジャック第4巻』 (秋田書店)
◇手塚治虫 『ブラック・ジャック第4巻(手塚治虫漫画家生活30周年記念作品)』 (秋田書店)


◇手塚治虫 『ブラック・ジャック(全17巻)』 (秋田書店 新装版)


◇手塚治虫 『ブラック・ジャック愛蔵版(全17巻)』 (秋田書店 ハードカバー)


◇手塚治虫 『ブラック・ジャック(全17巻)』 (秋田書店 文庫版)


◇手塚治虫 『ブラック・ジャック大全集(全15巻)』 (復刊ドットコム)



◇手塚治虫 『手塚治虫漫画全集(ブラック・ジャック1)』 (講談社)
◇手塚治虫 『手塚治虫漫画全集(全400巻)』 (講談社)



断章U:小沼丹 『黒いハンカチ』 (創元推理文庫)


◇ 小沼丹 『黒いハンカチ』 (創元推理文庫)


第三話:寺山修司 『われに五月を』 (作品社)


◇ 寺山修司 『われに五月を』 (作品社)


◇ 寺山修司 『家でのすすめ』 (角川文庫)
◇ 寺山修司 『書を捨てよ、町に出よう』 (角川文庫)


◇ 中居英夫(塔晶夫) 『虚無への供物』 (講談社)


◇ 『現代詩手帖』 (思潮社)
◇ 『短歌研究』 (短歌研究社)


◇ 寺山修司 『作家の自伝 40』 (日本図書センター)


断章V:木津豊太郎 『詩集 普通の鶏』 (書肆季節社)


◇ 木津豊太郎 『詩集 普通の鶏』 (書肆季節社)
※画像が見つかりませんでした。


エピローグ:リチャード・ブローティガン 『愛のゆくえ』 (新潮文庫)


◇ リチャード・ブローティガン 『愛のゆくえ』 (ハヤカワepi文庫)

※プロローグは新潮文庫版を載せましたが、エピローグでは、「復刊されたハヤカワepi文庫」に言及していましたので、ハヤカワ版を載せておきます。



いかがですか。雰囲気は掴めましたでしょうか?

このように、本の表紙だけ見ても、何となく内容を窺い知ることが出来る。ということで、私はいつも表紙にコダワッテいるのです。

−−−−−−−−−−

『ビブリア古書堂の事件手帖』公式サイトに、「ビブリア」TVCMがありました。

特別公開ということで期間限定かもしれないので、以下、画像を貼って再現しておきますが、見られるうちは、是非、ご覧になってみて下さい。


彼女の名前は篠川栞子、ビブリア古書堂の店主だ


古書にまつわる謎を解く彼女の洞察力に、俺は翻弄されている




人の手を渡った古書には


本そのものにも物語がある


そこに刻まれた人の想いを


読みとっていく


これは、古書と絆の物語


メディアワークス文庫
ビブリア古書堂の事件手帳


−−−−−−−−−−−−−−−



1〜4巻の表紙は全て、栞子さんの横顔でしたが、5巻で初めて、正面からの、しかもメガネっこの表紙となりました。書店で見た時に、何となくイメージが違うなと思ったのですが、こういうわけだったんですね。

−−−−−

最初の頃はレジに持って行くのが恥ずかしかったのですが、5冊目ともなれば、もうすっかり平気…なんてことはなく、やっぱり他の本に挟んでレジに持って行きます。



後で知ったのですが、今回、TSUTAYAで買うと、「栞子さんの特製しおり」がもらえるハズでしたが、私、もらってません!

24日発売で、25日に買ったのに、もう「なくなり次第終了」だったのでしょうか?

もしかすると、3冊レジに持って行って、「ビブリア古書堂の事件手帖」が目立たないように真ん中にして、しかも表紙も裏返してレジに出したので、見落とされたのかも。今回、偶然とはいえ、せっかくTSUTAYAで買ったのに、何ということだ!



「もらってません」と申し出るなんて出来るわけもありませんが、同じ画像を見つけたので良しとします。

−−−−−−−−−−



栞子さんの画像を探していたら、こんなものを見つけました。


ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さん表紙画胸像集(カプセルQフロイラインより) ※画像クリックで拡大します。

なんと、「ビブリア古書堂の事件手帖」1〜3巻の表紙と、夏のキャンペーンの浴衣姿の栞子さんの胸像フィギュアが販売されていました!

1個400円ですが、amazonで4個セットで販売しているのを見つけました。

もちろん欲しいですよ、ええ。でも、私も一応、いい歳した大人ですからね、さすがに、これを買うのは自重しますよ。子供じゃないんですからね。

ということで、ビブリアの感想は、異常に時間がかかるのですが、ようやく完成、文庫を本棚に戻してっと。

あれっ、本棚に何か置いてある。昨日まで何もなかったのに、変だなぁ…。何だろう?


(すみません、我慢できずに買ってしまいました…。)


印象に残った言葉

「…ただの作り話じゃないか。」

「ええ。これは作り話です。」

「作り話だからこそ、託せる思いもあるんです。もし、この世界にあるものだけが現実だったら、物語というものが存在しなかったら、わたしたちの人生はあまりにも貧しすぎる……現実を実り多いものにするために、わたしたちは物語を読むんです。


−−−−−

第二話の『ブラック・ジャック』の中で、栞子さんが言った言葉です。

もう何も説明を加える必要はありませんね。読書の素晴らしさを見事に言い表していると思います。

ちなみに、第二話で取り上げられた、『ブラック・ジャック』の訳あり未収録作品について、ネタバレになることを避けるためか、作者は、本作中でそのストーリーについて詳しくは述べていません。

それは、読者が自分で読むなりすれば良いという作者の配慮ですが、

「あなたの言うとおり、確かにフィクションです……でも、この話の結末を知りたくないですか?」

という栞子さんの問いかけのように、結末を知りたい方は、以下を参照して下さい。

ブラック・ジャック「植物人間」 - こんなんみっけ - Yahoo!ブログ
【閲覧注意】ブラックジャック訳あり未収録作品 - NAVER まとめ



※ブログ内の関連記事(三上 延)

三上延 / 著作リスト

(ブックレビュー / ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ)
ビブリア古書堂の事件手帖 1 栞子さんと奇妙な客人たち
ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常
☆ ビブリア古書堂の事件手帖 3 栞子さんと消えない絆
☆ ビブリア古書堂の事件手帖 4 栞子さんと二つの顔
ビブリア古書堂の事件手帖 5 栞子さんと繋がりの時


※関連サイト

馬的思考 (三上延 公式サイト)
『ビブリア古書堂の事件手帖』公式サイト


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