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zoom RSS 死体農場 (パトリシア・コーンウェル)

<<   作成日時 : 2014/02/03 21:44   >>

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満足度2.5 ★★☆

講談社文庫
原題 THE BODY FARM
翻訳 相原真理子
初出版 1994年
読んだ回数 1回






講談社文庫−裏表紙の紹介文

教会からの帰途、11歳のエミリーを何者かが尾行し、自宅のベッドから連行のうえ殺害した。死体の内腿と胸の上部及び肩の肉は切りとられていた。極秘の研究所「死体農場(ボディ・ファーム)」の協力のもと、ケイと殺人課刑事マリーノの極悪犯に対する凄絶な死闘が始まった。世紀のベストセラー「検屍官シリーズ」好評第5弾!


感想、みたいなもの

パトリシア・コーンウェルの「検屍官シリーズ」第5作。

何となく思い出した時に読み続けているシリーズですが、そろそろ苦痛になってきました。

主な登場人物として、主人公のケイ・スカーペッタ以下、相棒?のマリーノ警部、FBIのウェズリー、姪のルーシー、妹のドロシーなどがいるのですが、見事に誰一人、好感が持てません。

ケイもマリーノも、第一作を読んだ時点では、まあまあ良い感じだったのですが、巻を重ねるうちに、「何だかなぁ」のキャラになってきたようです。

「検屍官」に似たシリーズで、リンダ・フェアスタインの「検事補アレックス・クーパーシリーズ」がありますが、こちらのアレックスは「私は仕事ができるのよ!」というプライドがやたら高いだけでなく、女としてチヤホヤされたい気持ちもそれと同じくらい強いという、最初から虫が好かないヤツだったのですが、ケイも、本作で、それに似てきた気がします。

マリーノは、口は悪いが、それなりに優秀な刑事かと思いきや、奥さんに逃げられてからは、どんどん壊れていくようだし、ケイおばさんを慕う姪のルーシーは、唯一、素直で良い子かと思っていたら、PCの知識だけは高いが、自己中心的で生意気なガキになってきたし、ベントンはやっぱりねのキャラだし、何かもう、何を頼りに読めばいいのかという状態です。

ストーリー的には、まだ何とかなっているので、そこそこ読めるのですが、登場人物が、悪い方へ変わり始めてしまい、そんなことから、満足度も★★☆となりました。

乗りかかった船とは言え、この先が不安なシリーズです。

−−−−−

さて、今回の舞台のひとつにFBIアカデミーのあるクワンティコがあります。



FBIアカデミーというと、「羊たちの沈黙」のオープニングで、ジョディ・フォスター演じる、FBI訓練生のクラリス・スターリングが訓練用のクロスカントリー?の森を走るシーンがあるのですが、そのシーンを思い出しました。

ここにケイの姪ルーシーが研修生として来ているのですが、ちょっとしたトラブルに巻き込まれます。

また、隣の州の町、ブラックマウンテンで起きた殺人事件が、前作の「真犯人」に登場した殺人鬼ゴールトの犯行手口に似ているということで、ケイたちはクワンティコに集まり、ゴールトの影を感じつつ合同で捜査にあたります。そして、二つの事件に、ケイ達の人間模様が複雑に絡み合うという感じで物語は進んでいきます。

元々、謎解きが主体のシリーズではありませんが、今回のものはあまりにもお粗末な気がしました。

ルーシーが嵌った罠にしても、「何でこんなやり方をするのか。これじゃ誰だっておかしいと思うのでは?」という感じですし、そもそも、ルーシーがいくらPCの達人と言っても、天下のFBIともあろうものが、重要なプロジェクトに大学卒業前のルーシーを起用するとは思えません。(いや、アメリカならあるのかも?)

百歩譲って、それほどの能力がルーシーにあるのなら、そもそも、こんなアホみたいな罠に嵌るわけはないしと、矛盾を感じます。

罠を仕掛けたのが誰かはすぐに予想がつくのですが、その誰かにしても、せっかくFBIに潜入できたのに、証拠を残すような馬鹿げたやり方をするわけないとか、ツッコミ所満載。

さらに、マリーノの行動は論外だし、ケイはプライドが変に高くなってしまい、男も姪も親も妹も、み〜んな、自分の言うことに従うべきだと言わんばかりの、タカビー化してきたしで、あまり楽しめませんでした。

このシリーズがやがてマンネリ化し、作者による、あっと驚くリセット技がさく裂することは知っていますが、まだ5作目で、この体たらくはどういうことなのでしょう。

発表されたのが20年も前なので、今読むには古過ぎるのでしょうか、いや、そうではないような気がします。

いつものことながら、「次作が楽しみ」とは言えないのですが、訳者あとがきによれば、本作と次作が物語の前編・後編の関係になっているとのことなので、本作の内容を忘れないうちに、読みたいと思っていますが、どうなることやら…。

−−−−−−−−−−−−−−−

以前の記事に書いた、「検屍官シリーズ」の映画化のニュースですが、結局、立ち消えとなったと思っていたところ、またまた、2015年に映画化というニュースがありました。



ケイ・スカーペッタ役は、以前にも噂された「アンジェリーナ・ジョリー」ですが、どうなんでしょう、どうせまたポシャるのではないかという気がします。

今では、シリーズもかなりマンネリ化し、また、初期の頃とは方向性が大きく変わってきていることは、多くの人が認識していますし、おそらく本国でも人気は下火だと思うので、もういまさら映画化しなくても良いのではないかと思います。

もしかすると、ダラダラとシリーズを書き続けているコーンウェルが、映画が公開されれば、また少しは売れるようになると目論んでいるということなのかもしれません。

−−−−−−−−−−−−−−−

シリーズは現在のところ、21作目まで続いていて、20作目までが邦訳されています。

「検屍官」の記事で書いたように、最初にシリーズの大半を古本で入手した後、16作目からは書店で新品を購入していました。

毎年、年末に出版されるのがパターンとなっており、昨年も、12月に20作目の「死層」が出版され、いつものように、書店で購入しようとしたのですが…。

他にも何冊か購入するので、全部でいくらかなと金額を計算していたところ、

1冊、1271円!!

見間違いかと思いましたが、上下巻ともに、1271円と記載されています。

文庫でこんな価格は見たことがありません。

時々、分厚い文庫で1000円を越すケースもあるにはありますが、「死層」は、上巻が336頁、下巻が368頁です。

ここ数年、分ける必要がないページ数なのに、上下2冊にして結果的に合計価格を吊り上げるという、いやらしいやり方が横行しています。

出版社に言わせると、重い本を持ち歩かなくても良いようにとのことらしいですが、本質は売上のアップを見越してのことだと思います。もちろん、上巻を読んでつまらなければ下巻をが買われないというリスクはあるかもしれませんが、普通は上下セットで購入することの方が多いと思います。

このやり方は、個人的にはかなり腹立たしいのですが、今は本が売れない時代なので、出版社の事情もわからないではないし、出版社が潰れるのも困るという思いで、我慢しています。

しかし、これはヒド過ぎます。

そう思うのは私だけではないようで、amazonの「死層」のレビューを見ると、本の内容はさて置き、価格に言及したものが多く見られます。

人気下降であまり売れなくなったのに、コーンウェルの版権が高すぎるのかもしれませんが、そのツケを読者に回すくらいなら、もうこのシリーズの出版を打ち切れば良いのにと思います。

ということで、私としては特に楽しみにしているシリーズでもないし、今後は、amazonで1円になってから購入することにします。

なめんなよ、講談社!!

−−−−−−−−−−

 

文庫の表紙(左)は「いつものパターン」です。





「いつものパターン」とは、「白地の部分と写真の組み合わせ」ということですが、1作目〜5作目までがこのパターンで、6作目からは白地部分がなくなりました。

毎回、女性の顔が描かれているのですが、この女性が登場人物の誰をイメージしたものかが良くわかりません。

洋書の方は、何だか良くわかりません。下の部分は「銃弾の跡が残るガラス窓」のようですが、そんなシーンあったっけ?という感じです。

さて、題名の「死体農場(ボディファーム)」ですが、死亡時刻を正確に知るための実験として、死体を放置し、その腐敗の進み方を調べるための施設のことで、実際にアメリカでは、1981年にテネシー州に設置されたとのこと。

物語的には、チラリと登場する程度でさほど重要とは言えないのですが、こういう施設があることに驚きました。放置される死体は、もちろん人間のもので、実験に使用される「ドナー」として提供されるらしいのです。

洋書の画像を探そうと、「body farm」で検索をしたところ、「閲覧注意」な画像が多量にヒットしてあせりました。検索する方は、くれぐれもご注意下さい。


印象に残った言葉

「はっきり言ってもいいのよ、ケイおばさん。あたしがやったと思ってるんでしょう?」

「ルーシー、どう考えればいいかわからないの。」と、正直に言った。「あなたが言ってることと、証拠が示していることと、矛盾するんですもの。」

「あたしは、おばさんの言ったことを疑ったことは一度もないわ。」ひどく傷ついた様子で私を見る。


−−−−−

罠に嵌り、疑いのかかったルーシーと、ルーシーがやったとは信じられないが、しかし、状況は反対の事実を示していることから戸惑いを隠せないケイの会話です。

ルーシーのように、「私があなたを信じているのだから、あなたも私を信じるべきだ。」というようなことを言う人はけっこういると思いますが、私は、このような発想をする人が嫌いです。

「人を信じる」ということは、見返りを求めるものではありません。「私があなたを信じること」と「あなたが私を信じること」は、全く別の独立したものです。

「信じる」という行為は、自己完結する行為だと思っているので、私は信じた人に裏切られても、ルーシーのようには考えません。

「私が信じた」のだからそれでいいのです。

信じるってそういうことではないでしょうか?

もちろん私だって、裏切られたら腹も立ちますが、それは、その人が信じるに足る人だと見抜けなかった自分が悪いのです。

そう考えるようになってからは、人を信じることに慎重になり過ぎたり、躊躇することがなくなり、世の中の見方が変わりました。

それに、ルーシーのように、「疑ったら、もう信じていることにはならない。」とか、「疑ったことは一度もない。」という人の方が、嘘臭くて信じられません。(実際にルーシーも、「ケイおばさん。あたしがやったと思ってるんでしょう」って、ケイを疑ってるし!)

信じていても疑ってしまうのが人間です。

きっとルーシーは、太宰治の「走れメロス」を読んだことがないのでしょう。(そりゃそうだ。)



※ブログ内の関連記事(パトリシア・コーンウェル)

パトリシア・コーンウェル / 著作リスト

(ブックレビュー)
検屍官
証拠死体
遺留品
☆ 真犯人
死体農場


※関連サイト

パトリシア・コーンウェル公式サイト


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私は多分、もう2作品くらい読んでいません。あまりの展開と、登場人物たちのキャラの変わり様についていけなくなりました。残念です・・。
DONA
2014/02/08 15:36
★>DONAさん
コメントありがとうございます。

ネットのあちこちで、シリーズの変貌ぶりを嘆く声が聞かれるのを承知の上で読み始めたのですが、こんなに早く崩壊が始まるとは。10作くらいは楽しめるかなと思っていたのですけどね。

登場人物が好きになれないのは問題ですが、物語的にはまだ何とかなるので、(リセット技が何作目か知りませんが、)もう少し読むとは思いますが、私も途中で離脱するかもしれません。

いずれにせよ、作者自身の手で潔く終止符を打ってもらいたいです。
北旅@管理人
2014/02/08 18:39

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