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zoom RSS サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (佐藤青南)

<<   作成日時 : 2014/04/30 22:07   >>

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満足度4 ★★★★

宝島社文庫
初出版 2012年
読んだ回数 1回








宝島社文庫−裏表紙の紹介文

警視庁捜査一課巡査部長で取調官の楯岡絵麻。行動心理学を用いて、相手の仕草や行動パターンから嘘を見破る手腕から、通称「エンマ様」と呼ばれる。幼馴染殺害の容疑がかけられた歯科医、人気俳優の夫を殺害したと自白する国民的女優、クレーマー殺害の容疑がかかる占い師、絵麻の同僚を被疑者に追い込んだ音大生…。取調室で絵麻が被疑者に向かい合うとき、事件の真相が浮かび上がる。

感想、みたいなもの

最近は読んでいる作家の数も多くなり、新規の作家に手を出すのは控えているのですが、それでもやはり、本屋へ行くと、面白そうなものはないかと各文庫の棚を一通り見てしまいます。その結果として、新たに手を出す場合は、表紙買い、タイトル買いが多いのですが、この本はまさしくタイトル買いでした。

「行動心理捜査官・楯岡絵麻」

他の記事でも時々書いていますが、私は大学の時、「心理学」に興味を持ちました。特に専攻ではないので、専門的な、学問としての心理学ではないのですが、「大衆心理」、「洗脳」、「統計の結果を誘導する心理」など、人が知らずに心理的操作を受けてしまうメカニズムが面白く、それ以来、興味を持ち続けています。

ミステリー好きなら、心理的錯覚を用いたトリックとか、基本的にそういう分野には興味があると思いますが、「行動心理」というのはまさに私の興味のある分野です。

以前、黒崎視音の「警視庁心理捜査官」を見つけたものの、パラ見した段階で惹かれるものがなく却下。





しかし今回は、「尋問に対する相手のしぐさ等の反応から嘘を見破り、被疑者を自供に導く」という、本当に心理学を用いた捜査のようなので、購入してみました。

普通は購入しても積読になることがほとんどですが、今回は興味のある「心理学」なので、すぐに読み始めました。

主人公は、自称(永遠の)28歳、巡査部長の楯岡絵麻。

仏教の、嘘をついた者は、地獄で閻魔(エンマ)様に舌を引き抜かれるという話になぞらえて、絵麻=エンマ様と呼ばれているのですが、絵麻という名前からわかるように、ありがちな美人刑事、それも超のつく飛び切りの美人という設定なので、正直、「またかよ!」という気持ちもあったのですが、これがなかなか面白い!

楯岡絵麻の捜査のキモを簡単に言えば、『嘘をつくことによる心理的圧迫を軽減しようとする、無意識な肉体の反射である「なだめ行動」を見逃さず、それによって、被疑者の発言の真偽を選り分けていく』というものです。

嘘をつく時の人間の反射的行動については、文中でも心理学的な説明がなされていますが、こういうのは専門的になりすぎると、読んでいて苦痛になることもありますが、本作はそうならないよう、必要最低限に抑えてあると思います。

人は嘘をついている場合、それが無意識にしぐさ(目や鼻を触る、唇をなめる、貧乏揺すりをする等)にあらわれるというのは、聞いたことがあると思います。

どういう仕草がどういう心理を示すか、きちんと把握していなくても、何となく怪しいと感じることは誰にでもあることだと思います。特に政治家の会見は良いサンプルでしょう。





近い例として、猪瀬直樹や渡辺喜美の会見を載せておきますが、そういう目で見ると、なんとなく分かるのではないかと思います。

とは言え、楯岡絵麻の捜査では、そんな、誰が見ても分かるものだけではなく、より細かい、一瞬のしぐさ(文中ではマイクロ・ジェスチャーと呼ばれる)を判別して真偽を探ります。

「女性はカンが鋭い」とよく言われますが、このような能力は、一般的に女性の方が優れているとのことですし、また、どんな強面の刑事に取り調べられるのかと思っていたら、女性、それも美人刑事だったら、当然ホッとして油断してしまうこともあるでしょう。さらに、被疑者が女性でも、同姓の心理をわかっていないとできない質問もあると思うので、本作に限っては、女性捜査官である必然性も少しはあるのかな〜と思います。


※2016/1/7追記

昨年末にTVで見た、メンタリストDaiGo vs 錦織圭の心理バトルの映像がYouTubeにアップされていました。

これを見ると、「なだめ行動」や「うなずき」等がどういうことなのか良くわかると思います。心理が顔に出やすいタイプの錦織選手は「マイクロではないゼスチャー」の連発で、私でも当てられるくらいの反応でした。この反応ならば、専門家のDaiGoにとっては赤子の手をひねるも同然だったと思います。面白いので、ぜひ、御覧になってみて下さい。



−−−−−

本作は「このミステリーがすごい!」に掲載されていたもの3話+書下ろし2話をまとめた短編集です。

第一話 YESか脳か

ダジャレ好きの私としては、まず、このタイトルにやられました。

第一話ということで、絵麻の捜査方法の基本的な説明がなされますが、少女誘拐事件の被疑者から監禁場所を聞き出す方法が、心理捜査官ならではのもので面白い。こんなことが実際に可能なら、これはもう無敵だなと思わせるもので、掴みはOKでした。

以下、

第二話 近くて遠いディスタンス (医師)
第三話 私はなんでも知っている (占い師)
第四話 名優は誰だ (女優)
第五話 綺麗な薔薇には棘がある (結婚詐欺師)


と続きますが、基本的に、取調室での被疑者とのやり取りが中心なので、どうしても変化に乏しい感じになりますが、容疑者のタイプや、尋問結果からの考察の方向性など、少しずつパターンを変えて、読者を飽きさせない工夫がされていると思います。

元々短編なので、それほど深く、また、さり気なく伏線を張るのも困難なので、先が読めてしまうこともありますが、謎解き主体ではなく、絵麻と犯人とのやり取りの妙を楽しむ作品だと思います。

なお、短編集の形を取っていますが、本シリーズを貫くテーマとして、15年前に起きた教師殺人事件があります。

殺されたのは絵麻の恩師であり、それが、絵麻が警察官を志した理由なのですが、物語の進行に合わせ、その事件がフラッシュバックされていきます。本作では、まだ「さわり」という感じで、さほど進展はないのですが、2作目の「ブラック・コール」では、その事件の比重が高まるようです。

「ブラック・コール」は「サイレント・ヴォイス」と一緒に購入してありますが、2冊目はどういう変化をつけてくるか、また過去の事件がどう絡んでくるのか大いに楽しみです。こちらも積読せずに、続けて読みたいと思います。

−−−−−



作者の佐藤青南は、今まで知りませんでした。調べてみると、『ある少女にまつわる殺人の告白』で「このミステリーがすごい!大賞」の優秀賞を受賞したとのことで、「宝島系」の作家です。他の著作に「女性消防士・高柳蘭シリーズ」があります。




面白いのは、作品が出版される度、著者本人の発案によるCMが制作されているということで、もちろん、「サイレント・ヴォイス」のものもあります。演じている俳優が素人っぽく、まじめにやっているのにコミカルという不思議な味わいがありました。

ちなみに、超美人の楯岡絵麻役は「前田恵利」という方ですが、検索しても特に何も出てこないので俳優ではないのかも。そしてこの方、まあ美人だとは思いますが、「超美人」かというと、「う〜ん」という感じ。

とは言え、けっこう個人的には好みのタイプなので、読んでいる時はこの方のイメージで読んでいました。刑事としては「超美人」という解釈で誤魔化しておきます。

−−−−−−−−−−−−−−−



宝島社文庫の表紙は、中山七里の作品等、基本的に作品の雰囲気に合わせてきちんと作られているものが多いと感じていますが、本作も悪くないと思います。

同じ女性刑事ものである、吉川英梨の「原麻希シリーズ」と似た雰囲気ですが、デザイン会社は違いました。「原麻希シリーズ」も、表紙買い&タイトル買い(3文字で統一したシンプルなタイトルが好み)したうちのひとつですが、表紙は悪くないものの、内容的には満足できず、一作読んだだけで中断しています。

購入時にその時の悪夢が蘇り、一瞬ためらいましたが、今回は「当たり」でした。


印象に残った言葉

しかしにやりと笑った絵麻は、無意識に指先同士を合わせる「尖塔のポーズ」をとっていた。

「私を……誰だと思ってるの」


−−−−−

実はこの私、「俺を誰だと思ってるんだ。」というセリフが好きなんです。

このセリフが発せられるシチュエーションにはいろいろあると思いますが、「なめんじゃねえぞ、ケッ。」という気持ちを伝える最上のセリフだと思っていて、自分でもよく使いますが、絵麻にもピッタリの言葉で痺れました。



※ブログ内の関連記事(佐藤青南)

佐藤青南 / 著作リスト

(ブックレビュー / 行動心理捜査官・楯岡絵麻シリーズ)
サイレント・ヴォイス
ブラック・コール

※関連サイト

実録素人ドキュメント 私を売れっ子作家にして下さい!!(佐藤青南のブログ)


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
サイレントヴォイス、なかなかこういう取調室だけのストーリーがないので楽しく読んでました^^
ひとつ疑問に思ったことについておききしたいんですが(ネタバレにならない程度に)、西野はなんで「森永がしょっちゅう取調室から出てきた」ことをしっていたのか。推測で話していたならともかく説得していたみたいだし…、もしよかったら解釈お聞きしたいです^^
やっさん
2014/11/07 19:44
★>やっさん
コメントありがとうございます。
ご質問の件ですが、もうすっかり忘れていたので、その話だけ読み直してみました。

ネタバレになるので、あまり詳しく書けませんが、要するに、「香澄」の取調べ時の話ではないということですね。西野は実際にそこに居たけれど、自分が当事者だから取調べはできないということだと思います。
北旅@管理人
2014/11/10 22:14

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