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zoom RSS ST 警視庁科学特捜班 (今野敏)

<<   作成日時 : 2014/05/24 17:48   >>

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満足度4 ★★★★

講談社文庫
初出版 1998年
読んだ回数 1回









講談社文庫−裏表紙の紹介文

多様化する現代犯罪に対応するため新設された警視庁科学特捜班、略称ST。繰り返される猟奇事件、捜査陣は典型的な淫楽殺人と断定したが、STの青山は一人これに異を唱える。プロファイリングで浮かび上がった犯人像の矛盾、追い詰められた犯罪者の取った行動とは。痛快無比エンタテインメントの真骨頂!


感想、みたいなもの

最近の私のテーマとなっているのが、「映像化されてイメージを押し付けられる前に読む」ですが、今回は、今野敏の「ST 警視庁科学特捜班シリーズ」です。

今年の1月、「隠蔽捜査シリーズ」がTVドラマ化されるのを知り、慌てて読み出したのも束の間、先日、書店にあった新装版の「ST 警視庁科学特捜班」の帯に、今年7月から連続ドラマが始まると書いてあるのを見つけました。

「たくっ、油断も隙もありゃしない。」と思っていたのですが、どうやら「STシリーズ」は、2013年にすでに単発ドラマが作成されていたようで、当時は資格試験の勉強に忙しい時期で、運良く、知らずにやり過ごしていたことも知りました。

今回ラッキーだったのは、放送開始がまだ少し先のことなので、あの、私が忌み嫌う、ドラマのキャストの姿が印刷された帯ではなく、ましてや、完全に表紙化した「全面帯?」でもなかったことです。

「ドラマ化」という文字を見つけた瞬間、反射的に帯の文字から目をそらせたので、今のところ、キャストについては知らない状態をキープしていますが、キャストの姿がビジュアル化された帯だったら、とても避けられなかったでしょう。

それにしても、あの帯広告は本当にフザケた代物だと思います。多くの場合、原作とイメージが違うことが多いのに、テレビの都合でキャスティングしたイメージを無理やり押し付けてきます。

しかも、映像化された作品だけでなく、同じ著者の作品にまで、「テレビドラマ○○原作の作家による人気シリーズ」とかなんとか言っちゃって、無差別攻撃をかましてくるのですから。

ということで、何はともあれ、奇跡的に難を逃れた私は、早々に、「STシリーズ」に取り掛かったのでした。

−−−−−

今野敏は多作な作家ですが、シリーズものも多く手がけています。

主だったものを挙げただけでも、

・1986〜 特殊防諜班シリーズ
・1988〜 東京ベイエリア分署シリーズ
・1990〜 内調特命班シリーズ
・1991〜 潜入捜査シリーズ
・1992〜 渋谷署強行犯係シリーズ
・1996〜 樋口顕シリーズ
・1996〜 碓氷弘一シリーズ
・1998〜 ST 警視庁科学特捜班シリーズ
・2001〜 倉島警部補シリーズ
・2003〜 横浜みなとみらい署暴力犯係シリーズ
・2005〜 隠蔽捜査シリーズ
・2008〜 TOKAGEシリーズ
・2009〜 同期シリーズ
・2012〜 警視庁捜査三課シリーズ


というように、10を超すシリーズがあり、しかも継続中のものが多数あります。

私がすでに読み始めているものは赤字にしてありますが、なんと、「STシリーズ」を入れても、たったの4つ! このままでは、いつまた、敵の映像化攻撃を受けてしまうか分かりません。早急な対策が求められますが、それにしてもシリーズ多過ぎ!

−−−−−

警視庁科学特捜班とは、「警視庁科学捜査研究所」に新設された特捜班という設定ですが、科学捜査研究所は実際に、警視庁や道府県警察に設置されている組織です。テレビドラマの「科捜研の女」で有名になりました。

科学捜査研究所」は、Wikipediaによれば、

原則として、法医学(生物科学)、心理学、文書、物理学(工学)、化学の分野に分かれている。具体的には法医学の分野では血液、体液、DNA、組織等の鑑定、検査業務とその実験研究に従事、心理学の分野では犯罪心理の研究、ポリグラフ等による虚偽検出業務、文書の分野では筆跡、印章、印字印刷物、不明文字、通貨などの鑑定業務とその研究、物理学の分野では車両、構造物、機械、銃器弾丸、火災、電気事故、音声などの鑑定業務とその研究、化学の分野では麻薬、覚せい剤、毒物、薬物や繊維、塗料、樹脂、金属などの鑑定業務とその研究に従事している。

ということですが、捜査権のある警察官ではなく技術職員です。

つまり、捜査には参加せず、捜査の結果で得た証拠などを分析する部署なわけですが、「科学特捜班」(Scientific Task forceの略でST)は、さらに一歩進んで、現場の捜査にも参加し、積極的にそのスペシャリストとしての能力を生かすべく作られた組織という設定です。

メンバーは、

法医学(生物科学)担当の、赤城左門

第一科学(毒物)担当の、黒崎勇治

文書鑑定・プロファイリング担当の、 青山翔

物理学(工学)・音声の解析担当の、結城翠

第二科学担当の、山吹才蔵の五人に、

リーダーの百合根友久警部を加えた六名です。


色付けしたことでわかるように、五人のスペシャリストは、それぞれ名前に「色」を含んでいるのですが、これから連想されるのは、



やはり、「秘密戦隊ゴレンジャー」でしょう。

ゴレンジャーって、いつ頃の話かと思って調べてみると、なんと1975年でした。そんなに古いのかと思いましたが、私はゴレンジャーの時代に、それを見る年齢ではなかったので、ゴレンジャーに関する知識はほとんどありません。

それにしても、色分けされていること、それぞれ特殊な能力があること、紅一点を含む五名で構成されることから考えて、今野敏の発想のルーツとなったと考えて良いと思います。



※今の時代だと、もしかしたら、「ももいろクローバーZ」を連想する人がいるかもしれませんが…。

−−−−−

シリーズ1作目ということで、まずは五人のメンバーの特徴を知ってもらおうと、性格や能力を説明する記述が多くなります。

私としても、ドラマ化される前に自分のイメージを構築することが目的ですから、それぞれ五人の特徴をメモしながら読み進めていきました。

容姿については文中に説明もありますが、シリーズ4作目から始まる、それぞれのメンバーを主役にした、いわゆる「色シリーズ」の表紙に描かれたイラストも参考にしてみました。



まずは、法医学(生物科学)担当の、赤城左門

性格:一匹狼を気取るが、実は人望のあるリーダータイプ

容姿:彫りの深い顔に無精髭、髪は無造作にかき上げられて数本の束が額にかかる。

弱点:女性恐怖症だが、結城翠は「同僚」として認識しているため大丈夫らしい。

口癖:「それは俺の獲物だ。」





第一科学(毒物)担当の、黒崎勇治

特徴:犬のように発達した臭覚の持ち主であり武道の達人

性格:無口なサムライ

容姿:野武士のような風貌、長い髪を後ろに束ねるサムソン・スタイル

弱点:先端恐怖症





文書鑑定・プロファイリング担当の、 青山翔

容姿:色白でおそろしいくらいに端正な顔立ち。睫が長く細面。絹糸のように細く柔らかい髪、男でも思わず見とれてしまうほどの美貌の持ち主。

弱点:潔癖症の裏返しからくる秩序恐怖症

口癖:「ねえ、僕、帰っていい?」





物理学(工学)・音声の解析担当の、結城翠

特徴:異常に発達した聴覚能力・絶対音感の持ち主

容姿:グラマラス・ボディに長い髪。見事なプロポーションを、ミニスカート等、挑発的な服装に包む。よく光る眼が色っぽく、唇がまた肉体の官能美を上回るほどにセクシー。

弱点:閉所恐怖症。その影響で、開放的な服装を好む。





第二科学担当の、山吹才蔵

特徴:薬物のエキスパート

性格:実家が曹洞宗の寺で、自身も現役の僧侶であり、落ち着きがある。現場では、死体を見るとまず合掌、お経を唱える。

容姿:髪は短く、作務衣を着て手には数珠を持つ。



そして、五人をまとめるのが、キャップこと、百合根友久警部。

年齢30歳のキャリアですが、遠慮がちで気が弱い性格。勝手な行動を取る五人をまだうまく掌握できていないようで、キャリアなのに自信のない言動が目立ちます。「隠蔽捜査シリーズ」の竜崎とは正反対のキャラです。

最後は、本作でSTと行動を共にする、警視庁捜査一課の菊川吾郎警部補。

45歳、鋭い眼。日焼けした赤ら顔。太い首にずんぐりとした体格。その風貌のすべてがたたき上げの刑事であることを物語っている。

「叩き上げ」ですから、当然、足で稼ぐことをモットーにしていて、最初はSTを懐疑的に見ていますが、徐々にその能力を認めていくというベタな役回りです。

登場人物はざっとこんな感じですが、今回は、中国人ホステスの殺人から始まる猟奇的な連続殺人の捜査現場に、初めて、STの5人が参加します。

今回は、青山によるプロファイリングが中心になっている感じですが、ややもったいぶっている感もあり、もう少し翠や黒崎のように、ストレートに活躍する場面があれば良かったと思います。ただ、プロファイリングには、そもそも、そういった部分があるので、仕方ないのかもしれません。

それでも、五人の特色をうまく取り入れたシーン設定など、とりあえず、本作を読めば、ST五人の特徴が大体掴めると思います。

STシリーズは、特殊能力を持つ5人というエンタメ系の設定に、「潜入捜査」等でも見られる、今野敏得意の格闘技系アクションを加え、さらには科学捜査を織り込むという、かなり欲張った内容となっていますが、本作は謎解きもさほど複雑ではなく、テンポ良く読めて、楽しめました。

「マリアの骨」の感想にも書いたように、2作続けて読むと、イメージがより強く、鮮明になると思うので、STシリーズも、次作の「毒物殺人」を続けて読んでみようと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−



文庫(左)と、講談社ノベルス版(右)は、似たような雰囲気の表紙です。科学捜査ということで、パソコンによる解析のイメージなのでしょうか、パソコンの基盤のような写真が使われています。



7月の放送開始に合わせ、STシリーズは既刊の文庫をリニューアルして、順次、再発売するようですが、これは、その第一弾です。



すぐに思い出したのが、「隠蔽捜査」の表紙です。こちらは新潮文庫ですが、こちらも、「警視庁本庁舎」の建物が使われています。

それにしても、せっかく新装版として出すならば、もう少し考えて作るべきですね。面白みがなく、完全に手抜きですね。

ちなみに、内容については新旧文庫のページ数が同じなので、手直しはされていないようです。綾辻行人のように、何度も内容を修正して「完全版」とか言って出されると、細かいことが気になる私としては買わざるを得ないのですが、そういう意味では、今回は表紙も内容も気にならないので、買わないで済んでラッキーでした。

ちなみに、解説は旧版に少し手を加えてありますが、大して違わないと思います。気になる人は、新旧の文庫が店頭に並んでいる今のうちに見比べてみて下さい。


印象に残った言葉

「君、あそこで話していることが聞こえるのか?」

「聞こえるわ。」

「へえ、どういう仕掛けなんだ? どこかにマイクか何かを仕掛けてあるのか?」

「生まれつき耳がいいの。それだけよ。」


−−−−−

聞き込み先で30メートルも離れた場所の声を聞き取る、異常に発達した聴力を持つ翠に、同行した刑事が驚く場面です。

ST五人中の紅一点、というか「緑一点」の結城翠。

「美人で、スタイルが良くて、巨乳でセクシー」と、例によってリアリティー無視の設定ですが、ふと思い出したのが、「行動心理捜査官シリーズ」のエンマ様こと楯岡絵麻。

こちらも「超のつく美人」という設定ですが、実際にそんな美人が捜査現場にいたら、捜査に集中できず、迷惑ですよね〜。まあ、エンタテインメント的には紅一点というのは必要ですけど…。

本作では、ST五人の能力的な部分の説明に加え、外見上の説明も多く、それぞれの人物のイメージ構築がしやすかったのですが、結城翠については、スーパー過ぎて、具体的な人物が思い浮かびませんでした。

ドラマのキャストが誰なのか気になりますが、どうせ、「え〜!」という女優の可能性が高いと思うので、とりあえず知らないままにしておきます。(まさか、ゴリ押しこと、某力さんじゃないよね?)



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(ブックレビュー / ST警視庁科学特捜班シリーズ)
ST 警視庁科学特捜班

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内 容 ニックネーム/日時
突然のコメント、失礼いたします。
書評コミュニティサイト「本が好き!」を運営しております、池田と申します。

今回書評を拝読し、ぜひ本が好き!にも書評を投稿していただきたいと思いコメントいたしました。

本が好き!では、書評をサイトに投稿していただくと本がもらえる、献本サービスを行なっております。

献本は審査を通過した方のみ申し込み可能となりますが、
今回は会員登録後ご連絡いただければ、すぐに献本申し込みできるようにしたいと思います。

書評家さんの交流も盛んで、本について語れるサイトとなっております。

よろしければ一度サイトをご覧いただけますと幸いです。

不明な点などありましたらお気軽にご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
本が好き!編集部
URL
2014/07/10 14:39
★>本が好き!編集部様
ご訪問ありがとうございます。
ご覧のように、更新頻度も低く、ネットの片隅で細々とやっているブログですので、他サイトへ投稿の時間的余裕もありません。

せっかくのお申し出ですが、遠慮させていただきます。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。
北旅@管理人
2014/07/10 23:41
北旅@管理人様

承知いたしました。

気軽に楽しめるサイトとなっておりますので、機会がありましたらぜひ、いつでもご参加ください。

何かありましたら対応させていただきますので、
お気軽にご連絡いただけますと幸いです。
失礼いたしました。
本が好き!編集部 いけだ
URL
2014/07/11 11:46
はじめまして。

うつ克服カウンセラーの玉村と申します。

このたび、うつに関する自伝書を出版しまして、この本の書評をブログに書いて
いだけないかと思い連絡しました。

著書「鬱〈うつ〉に離婚に、休職が… ぼくはそれでも生きるべきなんだ」
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この本は、著書11冊を出版している、
大阪経済大学人間科学部 教授の、
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メールアドレスか住所を教えて頂ければ、
本をお送りしますので、よろしくお願いします。

もし本を書評ブログに書いていただけるなら、
私のブログで感謝の言葉を書かせて頂きます。

どうか、何卒よろしくお願い致します。

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Webサイト名 : うつ克服カウンセラー 玉村勇喜 | 癒し玉
WebサイトURL : http://utsu-kokufuku-iyashidama.com
管理人 : 玉村 勇喜(たまむら ゆうき)

ブログ : http://ameblo.jp/utsu-kokufuku-iyashidama
メールアドレス : request@utsu-kokufuku-iyashidama.com
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うつ克服カウンセラー@玉村勇喜
URL
2014/11/01 12:07
★>うつ克服カウンセラー@玉村勇喜様
ご訪問ありがとうございます。

書評をとのご要望ですが、当方、読むのが遅く、かつ、積読が1000冊を超えるような状況ですので、ご要望にお応えするのが困難な状況です。

ご期待に沿えず、申し訳ありません。
北旅@管理人
2014/11/05 14:27

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