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zoom RSS チーム (堂場瞬一)

<<   作成日時 : 2011/01/09 21:06   >>

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満足度5 ★★★★★

実業之日本社文庫
初出版 2008年
読んだ回数 1回








実業之日本社文庫−裏表紙の紹介文

箱根駅伝出場を逃した大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツといわれる駅伝で、いわば"敗者の寄せ集め"の選抜メンバーは、何のために襷をつなぐのか。東京〜箱根間往復217.9qの勝負の行方は――選手たちの葛藤と激走を描ききったスポーツ小説の金字塔。


感想、みたいなもの

関東では、お正月の風物詩として定着した感のある「箱根駅伝」。

今年も2日、3日とTVで観戦したのですが、昨年末に文庫化された、堂場瞬一の「チーム」を思い出し、これは今読むのがベストだろうということで読んでみました。

東京に住んでいるので、箱根駅伝は大学NO.1を決める全国大会だと思い込んでいましたが、実は、箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟が主催する地方大会なんですね。

ただ、箱根の山越えというコース特性や、時期がお正月ということによる注目度の高さなど、駅伝の中では知名度は抜群だと思います。

−−−−−

さて、この本で主役となる「学連選抜」について簡単に説明しておきましょう。

箱根駅伝は20チームで争われますが、前年の10位までに入った大学は自動的に翌年の出場権(シード)を得ます。そして、残り10のうち9枠は、「予選会」と呼ばれるレースで決まります。

そして、出場19大学以外の大学から、予選会のタイムの良かった選手を選抜し、「学連選抜」という混成チームが作られ20番目のチームとなるのです。

−−−−−

駅伝は団体競技ですが、あくまでも走るのは一人ずつです。

ある意味、個人競技なのですが、「襷(たすき)」の存在が個人個人を結びつけ、チームにしているわけです。

他の団体競技とは違う形の「チーム」。それが、この本のテーマになっていて、それは、文中では、こんな言葉となっています。


「チームって何なんだろうな。駅伝なんて、所詮は個人競技のつなぎ合わせだ。自分のベストを目指していけば、結果もついてきそうなものだからな。」

「俺は正直言って、駅伝っていうものが、チームっていうものが未だに分らない。」



同じ大学であれば、練習などの苦労を共にし、同じ大学の伝統を背負うという、連帯感の源を共有できます。

しかし、「学連選抜」は、別々の大学(同じ大学からは2名まで)からの参加ということで、「何のために走るのか」という、モチベーションがハッキリしない難しさがあるのです。

−−−−−−−−−−−−−−−

さて、物語は、学連選抜チームの、レース前の心の葛藤を描く第一部と、実際のレースを描く第二部という構成になっています。

メンバーの中に、自分の大学は弱くて出場を逃したものの、個人の能力としては超一流の山城という選手がいて、その個人主義的な言動が、何とか寄せ集めチームをまとめようとする、キャプテンの浦選手の障害となります。

山城の言う、

「別に自分の区間だけちゃんと走ればいいだろう。簡単な話だよ。全員が区間賞(その区間の1位のこと)を出せば勝てる。」

というのも、ある意味正論で、浦の葛藤はレースが始まるまでには収束しませんでした。

この山城が、どのようにチームの一員になっていくかが本書のキモだというのは、読み始めれば誰でもわかると思いますが、堂場瞬一は、ベタでもなく、こじつけでもない、自然な形で物語をまとめてくれました。

第一部で各選手の背景を描き、第二部では、その想いを、走っている選手と共有しながら読み進めることになります。

第二部では、臨場感あふれる文章から選手の想いが伝わってきて、何度も目頭が熱くなりましたが、最後のシーンではついに涙があふれるのを抑えられませんでした。

読後感はとても爽やかで、正月から良い気分に浸ることができました。

−−−−−−−−−−−−−−−

東京に住んでいれば、東京〜箱根間の風景は何となく想像できますが、他の地域の方のために、箱根駅伝のコースマップを載せておきます。

全体マップ


往路1区 / 復路10区


往路2区 / 復路9区


往路3区 / 復路8区


往路4区 / 復路7区


往路5区 / 復路6区



今年の大会で印象に残ったのが、シード権を賭けたデッドヒートでした。(8〜11位争い。4人のうち1人がシードもれになる)ゴール寸前で、4人のトップに出た國學院大学の選手がコースを間違え、あわやのシーン。こちらのYouTubeを載せておきます。



−−−−−

※2012年の印象的なシーン(2012.01.03追加)




※山の神 柏原竜二(2012.07.22追加→削除→2012.06.21追加)
柏原竜二4年間の走り(2012年は4:26から)




−−−−−−−−−−−−−−−



右が単行本の表紙です。

私がイラスト風の表紙が好きというのもありますが、文庫の表紙よりずっと良い雰囲気だと思います。

それにしても、この本に限らず、どうして文庫にする時、変な表紙になることが多いのでしょうか? 表紙買いすることも多い私としては気になります。


印象に残った言葉

「駅伝は、アイコンタクトで華麗にパスをつなげたり、八人の力を一本の矢にしてスクラムを押したり、そういう目に見える形のチームワークが存在しないが故に苛酷なのだ。」

「走っている時は一人。しかし自分の前で必死になっていた選手、襷を待っている選手の思いを消し去ることはできない。」


同じ大学だとしても、走っているのは一人。それなのに団体競技であるというのは、他には体操競技の団体戦くらいでしょうか。

ただ、駅伝が過酷で、時に残酷なのは、もし襷を繋ぐことができなければ、つまり、途中で走れなくなった場合は、チームの記録自体がなくなる点です。

2008年は、有力3チームが途中棄権になるという波乱の大会でした。アクシデントはあって欲しくはありませんが、このシーンを見ると、駅伝が団体競技であるということがよくわかります。

2008年のアクシデントをまとめたYouTubeがあったので載せておきます。ちなみに、文中に10区の踏切の場面があるのですが、下記YouTubeに、その場所で起きたアクシデントが入っています。(2の4分59秒から) どのような場所なのかわかると思います。


箱根駅伝 涙の途中棄権1-2
画像クリックでYouTubeへ(注:音が出ます。)


ラグビーの有名な言葉に、「One for all , All for one」(一人はみんなのために、みんなは一人のために)というのがありますが、これは駅伝にも通じる言葉だと思います。

こういう、精神的、哲学的な部分が日本人受けし、それが、箱根に限らず、駅伝が人気を呼ぶ理由なのではないでしょうか。


関東学連選抜 成績一覧

2003年-総合16位相当(往路16位/復路20位)
2004年-総合6位相当(往路7位/復路6位)
2005年-総合18位相当(往路17位/復路19位)
2006年-総合19位相当(往路19位/復路18位)

2007年-総合20位(往路20位/復路20位)
2008年-総合4位(往路4位/復路4位)
2009年-総合9位(往路13位/復路3位)
2010年-総合16位(往路11位/復路19位)
2011年-総合18位(往路19位/復路17位)

2003-2006年はオープン参加のため参考記録
2004年は記念大会のため、関西の大学も加えた日本学連選抜



※ブログ内の関連記事(堂場瞬一)

堂場瞬一 / 著作リスト

(ブックレビュー / スポーツもの)
8年
マスク
標なき道
大延長
チーム

※関連サイト
堂場瞬一10周年記念特設サイト
堂場瞬一 with 中央公論新社


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
自分のブログでこの本を取り上げた際に
あなた様の書評を紹介させていただきました。
http://mitearuki-kd.blog.ocn.ne.jp/
こおひい・たいむ
2011/12/25 10:52
★>こおひい・たいむさん
コメントありがとうございます。
また、ブログでの紹介ありがとうございます。

先日、箱根駅伝のエントリーが発表され、本当に月日の経つのが早いと実感しましたが、今年はどんなドラマが見られるのか、今から楽しみです。
北旅@管理人
2011/12/25 12:29

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