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zoom RSS 天国の罠 (堂場瞬一)

<<   作成日時 : 2011/12/25 14:37   >>

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満足度3.5 ★★★☆

徳間文庫
初出版 2002年
読んだ回数 1回








徳間文庫−裏表紙の紹介文

広瀬隆二は、有名代議士から自叙伝執筆の依頼を受け、15年前に失踪した代議士の娘・香奈の行方を追う。彼女の足跡を辿ると、行く先々で女の魔性の虜になった男たちの姿があった。彼はいつしか幻の女に惹かれる自分に気づく。長編サスペンス。


感想、みたいなもの

堂場瞬一は、スポーツ小説の「8年」でデビューし、次作が「刑事・鳴沢了シリーズ」第一作の「雪虫」。そして本書は、「雪虫」に次ぐ、堂場瞬一の警察もの第二弾になります。

「警察もの」と書きましたが、実際には主人公の広瀬隆二はフリーライターで、警察でも探偵でもありません。まあ、鳴沢了に近い雰囲気の主人公によるハードボイルド小説という感じでしょうか。


広瀬は、代議士のの自叙伝を書く傍ら、失踪した代議士の娘、香奈の行方を追うことになるのですが、これを引き受ける動機が、「5年前に事故死した広瀬の恋人に似ているから」という、何ともいえない理由。

鳴沢了に雰囲気が似ていると書きましたが、ハードボイルドなのに、女にはユルい」という点も継承しているところが、さすが?堂場瞬一です。

物語は、冒頭からサスペンスタッチ全開で、テンポ良く進行します。



隆二は香奈の足跡を時系列で追い、会津、伊豆、尾道を訪ねることになり、徐々に現在の香奈に近づいていくのですが、その移動に使う車が、「ロードスター」というのも、ロードスターに乗っていたことのある私には感情移入できる部分でした。(※隆二の乗るロードスターの色はブリティッシュ・グリーンですが、私は赤いロードスターだったので、写真は赤にしました。)

とまあ、そんな感じで読み進め、中盤過ぎまでは「このまま行けば★★★★★だなぁ。」と思っていたのですが、終盤になるにつれ、何となく先が読め、結局はあり得ない展開に転がり、エンディングも納得いくものではなく★★☆気分で読み終わりました。

全体としては★★★★でもいいかもしれませんが、モヤモヤ感が強く残ったので★★★☆としました。

−−−−−−−−−−−−−−−

全体的なトーンは、かなり硬派な感じで、隆二が各地を訪ね、香奈が出没していた場所で聞き込みを行い、「3年前までいた」「先週までいた」と徐々に現在の香奈に近づく様は、1975年のヒット曲、「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」を思い出しました。

※古過ぎて知らない方はYouTubeをどうぞ。


ダウン・タウン・ブギウギ・バンド / 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ


さて、自分の恋人にウリ二つの女性の名前が「香奈(カナ)」ということから、




思わず、NHK朝ドラの「マナカナ」を思い出しました。

隆二の恋人が、実は「マナ」的存在なのカナと、そんな陳腐な関係を想像もしましたが、陳腐な想像が本当に陳腐だったと反省させられるような、あっと驚く仕掛けがあるわけでもありませんでした。

危険な目にあっても香奈を追うことをやめない隆二の、香奈に対する思い入れの背景が、ただ、「亡くなった恋人に似ているから」というのでは、さすがに理解できないと思います。

まさに、

「あんた、あの娘(コ)のなんなのさ?」

でした。

−−−−−−−−−−−−−−−

本書では、車中の音楽や、店から流れてくるBGMなどに、きちんと曲名が書かれています。知らない曲がほとんどなので、調べてみたところ、ロック、それもヘビメタ系の曲が多いようです。

YouTubeで聴いてみましたが、やはり、「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」に通ずる、硬派なトーンで統一されていて、これを聴くだけでも作品世界の雰囲気がわかると思います。

YouTubeをリンクしておきますので、読まれる方は、その部分でBGMにすると、作品の雰囲気により浸れると思います。



P54(5年前、車中のFMから流れていた曲)
ラモーンズ (Ramones) / Rock N' Roll Radio(1980)




P63(会津へ向かう途中、隆二が口笛を吹いた曲)
U2 / With Or Without You(1987)




P68(会津のギターショップで流れていたBGM1)
メタリカ (Metallica) / Enter sandman(1991)




P106(会津のギターショップで流れていたBGM2)
アーチ・エネミー(Arch Enemy) / Burning Angel(2001)




P262(下田から戻り、自室のラジオから流れてきた曲)
ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne) / Running on Empty(1977)




P372(尾道で車のFMから流れてきた曲)
ジョージア・サテライト(The Georgia Satellites) / Don't Pass Me By(1988)


−−−−−−−−−−−−−−−



表紙は海辺を走る車で、単行本(右)は、車のサイドミラーで、冒頭のシーンを彷彿とさせます。どちらも作品の雰囲気は良くでていると思います。


印象に残った言葉

昔、公共事業の問題に首を突っ込みかけた時のことを思い出す。その時私は、日本という国は、誰かが得をするという目論見がない限り何も始まらないのだ、ということを実感した。


硬派のライターを目指していた隆二。

当たり前と言えば当たり前の言葉ですが、「誰かが得をする」の「誰か」はもちろん国民ではありません。

普天間しかり、八ッ場ダムしかり、TPPしかり…。

代議士の自叙伝に端を発する物語の、真のテーマがこれだとすれば、全体を通しての鬱積した重い空気は、現代の空気と同じということを実感させる作品でした。



※ブログ内の関連記事(堂場瞬一)

堂場瞬一 / 著作リスト

(ブックレビュー / ノン・シリーズ警察もの)
天国の罠

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