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zoom RSS 帰郷 刑事・鳴沢了 (堂場瞬一)

<<   作成日時 : 2011/12/30 17:54   >>

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満足度5 ★★★★★

中公文庫
初出版 2005年
読んだ回数 1回








中公文庫−裏表紙の紹介文

話があるんです――父の葬儀の翌日、一人の若者が訪ねてきた。新潟県警鬼の一課長と呼ばれた父にとって唯一の未解決案件を再捜査しろというのだ。奇しくも事項は葬儀の当日であった。遺品の備忘録に綴られる捜査への飽くなき執念、不審な元同僚、犯人と名指しされた男、そして謎の記号―――父が遺した事件を追って雪の新潟を鳴沢、疾る!


感想、みたいなもの

鳴沢了シリーズ第五作目は、鳴沢の故郷、新潟へ戻っての物語。

前作で、父との確執に一応のピリオドを打ち、病床の父を見舞うようになった了ですが、その父が亡くなり、葬儀のため休暇を取って新潟へ帰ります。

葬儀の翌日、父親が解決できなかった唯一の事件に関係する若者に再捜査を依頼され、「弔い合戦」というわけでもありませんが、父の捜査メモを読みながら、事件を調べ始めます。

読み進むうちに、真相が何となく想像できてしまうようでいて、ヒネリも加えられていて、最後まで楽しめました。

謎解きというより、登場人物の心境の変化を読み解くという楽しみ方で良いと思います。

−−−−−

前作で、「一匹狼でもいいけれど、全てを一人で、それだけでは生きていけない」ことを学び、周囲と協力して動く鳴沢の姿が描かれていましたが、ある意味、その続編的な内容で、かつて新潟県警に勤務していたときの懐かしい面々が登場します。

第一作「雪虫」でコンビを組んだ新米の刑事、大西海が少し成長した姿で現れ、鳴沢を助けたり、やはり「雪虫」で先輩刑事として鳴沢を見守っていた緑川も登場します。

管轄が違う上に、休暇中、さらには既に時効になった過去の事件という設定が、一匹狼では「捜査」できない状況を作り出し、周囲の協力を得ながら、事件の核心へ、そして、父の想いへ迫っていく様子が描かれています。

シリーズを読み進めて5作目ですが、最初の頃の、ただツッパッているだけで、ある意味、痛々しさを感じさせた鳴沢も、その考え方に変化や成長?が感じられてきました。

これでシリーズも全十作の半分まで来ましたが、とりあえず、巻を重ねるごとに面白くなっているようで、今後、どうなっていくのか、読み進めていくのが楽しみです。

−−−−−

ハッ。そういえば、「硬派のくせに女にはユルい」鳴沢が、今回は女性に全くちょっかいをかけていません。

鳴沢、成長したのか?!

いやいや、捜査中に女のことを考える余裕のない鳴沢では、逆に心配です。

そんな風に思っていたところ、ようやく終盤になり、

ダウンジャケットのポケットに手を突っ込み、チョコレートバーを取りだした。多摩署時代の相棒である小野寺冴が、「非常食だ。」と言っていつも持ち歩いていたのを真似るようになったのだが、今ここに彼女がいたら、チョコレートバーを口にするだろうか。今は間違いなく非常時なのだ。

という描写があり、相変わらず、優美との結婚には踏み切れず、関係もややギクシャクしているような鳴沢。やはりまだ小野寺冴に未練があるのでしょうか。

それにしても、最も緊迫する場面で女のことを思い出すとは、さすが鳴沢。

やっぱり鳴沢了はこうでなくっちゃ!

とまあ、そんなシーンはあるものの、現在進行形の恋人、優美も回想シーンでしか登場しない本作は、全体としては、男の友情、父と子の関係をメインにした硬派な感じでまとまっていると思います。

−−−−−−−−−−−−−−−



前作から文庫書きおろしになったので表紙は文庫版だけですが、かなり地味だと思います。冬の新潟ということで、雪が降っているイメージなのでしょうか。

不透明で朧げな雰囲気は、過去の事件の捜査という内容に合っていると思いますが、もしかすると、優美との将来をも暗示しているのかもしれません。


印象に残った言葉

「聞いていいか?」

「何だ。」

「どうしてそんなに俺の世話を焼いてくれるんだ。」

驚いたように中尾が目を見開く。

「当たり前だろう。友だちなんだからさ。」

今度は私が目を丸くする番だった。

「何、驚いてるんだよ。」

「ずっと会ってなかったのに。」

「何十年会ってなくても友だちは友だちじゃないか。」
にやりと笑うと、中尾が急に立ち上がって手を振った。



それにしても、こんなことに驚くなんて、鳴沢了という人は、どんな生き方をしてきたのでしょう。

こういう関係は、学生時代を共有した友人ならではのものですが、今は故郷を離れている鳴沢の心には、強く響いたことでしょう。

さらに本書のラストでは、かつての先輩刑事、緑川にもグッとくる言葉をかけられますが、それは、これから読む人のために、ここには書かないでおきます。



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堂場瞬一 / 著作リスト

(ブックレビュー / 刑事・鳴沢了)
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孤狼
帰郷

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
大分、追いついてきましたね〜。私はなぜか今止まっているので・・。
私も同じ箇所が気に入っています。鳴沢の質問にびっくりしましたし「良い友だちもってるやん!」と何だか鳴沢の肩を叩きたくなりました(笑)
DONA
2011/12/30 19:34
★>DONAさん
コメントありがとうございます。
DONAさんの感想を改めて読んでみたら、本当だ、同じところを取り上げていますね。
「鳴沢の肩を叩きたくなりました」というのもわかるわかる。

ま、私は意地が悪いので、ついでに、「で、優美はどうすんねん。色男はつらいのお〜。」と、肘でツンツンしてしまうと思いますが…。
北旅@管理人
2011/12/31 09:56

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