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zoom RSS 破弾 刑事・鳴沢了 (堂場瞬一)

<<   作成日時 : 2011/01/24 18:43   >>

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満足度4 ★★★★

中公文庫 
初出版 2003年
読んだ回数 2回


中公文庫−裏表紙の紹介文

故郷を捨てた男は、それでも刑事にしかなれなかった。警視庁多摩署で現場に戻った了は、刑事部屋で倦厭され孤立する美女刑事とコンビを組む。命じられたホームレス傷害事件に腐る二人だが、被害者の周囲にはなぜか公安の影が……。東京郊外の新興住宅地に潜む、過去の闇を暴けるのか? 新警察小説


感想、みたいなもの

前作、「雪虫」に続く、刑事・鳴沢了シリーズ第二弾です。

前作では新潟署の刑事だった鳴沢が、こんどは場所を変え、警視庁多摩署の刑事として登場します。

東京は土地勘もあってロケーションを理解しやすいので、それはそれで良いのですが、新潟を舞台にしたローカルシリーズだと思っていたので、ちょっと拍子抜けしました。

ちなみに、新潟のことを回想する場面では、「雪虫」のネタバレが記述されていますので、「雪虫」を未読の方は注意して下さい。

前回の相棒は、新米刑事の「大西 海」(海はカイと読むのですが、鳴沢はわざとウミクンと呼んでいた。)でしたが、今回は、美人刑事の「小野寺冴」。


冴は犯人を射殺したという過去を持ち、多摩署に異動してきたのですが、署内では厄介者として煙たがられ、やはりワケアリで蚊帳の外だった鳴沢と組んで、ホームレスが襲われたという「どうでも良い」事件を担当させられます。

鳴沢の偏屈ぶりは多摩署に移っても相変わらずですが、冴も簡単には人を信じない頑固者という、似たもの同士。最初のうちは、鳴沢に対しても「冴」ならぬ「牙」をむいたような接し方をします。

そんな冴ですが、設定では「モデル級の美女」(そんな美人が警察にいるかっ!)なので、ストイックなくせに女にはだらしない鳴沢がどう反応するかは火を見るより明らかでした。

まあ、冴は「ジャジャ馬」でも、鳴沢のような筋金入りの頑固者というわけでもなく、女性らしい面もキチンと持ち合わせているので、一緒にいたら私も好きになりそうなタイプです。

また、前作では鳴沢だけが皮肉な物言いでしたが、冴との掛け合いでは逆に言い返されたりするのが面白くて、読んでいるうちに、どんどん冴に心を奪われていきました。



冴と思われる女性が単行本の表紙に描かれていますが、あまりピンと来ません。この作品は、ハイヒールと、口紅に見立てた弾丸を使った文庫の表紙の方が、雰囲気が出ていると思います。




とまあ、特にイメージする女性もなく読んでいたのですが、再読中に、たまたまTVで「デス・ノート」をやっていて、瀬戸朝香演じる「南空ナオミ」を見た時に、「これって冴じゃん!」と思いました。



冴は30歳、身長172p、髪も長いという設定ですが、「デス・ノート」の時点の瀬戸朝香も30歳で、彼女の身長は169p。冴が革ジャンを着ているシーンも文中にあります。

ついでにどうでもいいんですが、鳴沢は捜査中なのに、助手席に座った冴を見て、

「目の前で冴の革ジャケットの前が開き、薄い萌黄色のセーター越しに、体の線がくっきりと浮かび上がる。私は視線をそらし、フロントガラスを見つめた。」

な〜んてことを考えてます。



きっと、冴のこんな姿を想像してたんでしょうね。
ホントにしょうもない。

ちなみに、今回は鳴沢のラグビーシーンが出てきますが、作者の堂場瞬一も学生時代にラグビーをしていたとのことで、イメージ的には、鳴沢=作家自身なのでしょう。



作者の堂場瞬一はこんな人ですが、スポーツマンタイプでがっしりした感じですね。

ということで、冴の話を長々と書いてしまいましたが、本作の主役は鳴沢というより、(少なくとも私には)冴なので…。

★★★★★

ストーリーは前作に似ていて、30年前の、学生運動華やかなりし頃の事件(前作は50年前の事件)が絡んできます。

また、前作同様、展開がうまく行き過ぎる感もあり、結末のどんより重い感じも似ています。

前作の事件後、「刑事を続けていく資格があるのか、分らなくなって」、一度は警察をやめたものの、「これからどうしていこうかと考えた末、私が選んだのは、結局、刑事という職業だった。」わけですが、その辺の、心の動きの掘り下げがありません。

さらに、「似たもの同士」の冴との恋愛感情についても、冴の方は段々と心を開いていくのに、鳴沢は、相変わらず悩むだけで、自分の心にケリをつけられません。

元々、爽やかな感動を与えるというより、鳴沢の内面の葛藤を描いていくシリーズだと思うし、逆に、この「重さ」がこのシリーズの持ち味という言い方もできると思うので、仕方ないのかもしれませんが、もう少し何とかなりませんかねぇ…。

まあ、2作目で心の闇が晴れてしまったら、10作続くシリーズにはならなかったわけですが、少しづつでも、不完全でも、「今はこう思う」といった、暫定的な回答を得ながら進んで行けば、少しは重い空気も緩和できると思うのですが、これでは読者に途中で、「もういいや。」と思われても仕方ない気もします。

私も現時点では、10作のシリーズ中4作目までしか読んでいないので、鳴沢が、というか堂場瞬一が、どう落とし前をつけるつもりなのか、今はわかりません。

ただ、4作目の「孤狼」のラストは、少し爽やかさを感じるものだったので、堂場ファンの私としては、「重いなぁ。」と感じた方も、そこまでは読んで欲しいと思います。


印象に残った言葉

「私を信用してないの?」

鳴沢「君を信用してないわけじゃない。又聞きを信用しないんだ。」


という会話があったかと思うと、今度は立場代わって、

鳴沢「たまには人を信じてやれよ。」

「信じてるわよ。」

鳴沢「誰を?」

「自分を。」



ハイ、似たもの同士の会話です。ただ、私も人(というか世の中)を簡単には信じない性格なので、気持ちは良くわかります。

ただ、二人に恋愛感情が生まれ、冴の方は変わっていきます。

「ちょっと前の私だったら、誰も信じなかったかもしれない。でも、誰も信じられない人生っていうのは、悲しいじゃない。」

鳴沢「それはそうだ。」

「だからあなたも、私を信じることね。信じて欲しいと思う。」


なのに、それに対して鳴沢は、

「ああ」

と、生返事を返すだけ。

うーむ。ここで一発、気の利いたセリフが欲しかったなぁ。



※ブログ内の関連記事(堂場瞬一)

堂場瞬一 / 著作リスト

(ブックレビュー / 刑事・鳴沢了)
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帰郷

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