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zoom RSS 蝕罪 警視庁失踪課・高城賢吾 (堂場瞬一)

<<   作成日時 : 2012/02/18 12:11   >>

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満足度5 ★★★★★

中公文庫
初出版 2009年
読んだ回数 1回








中公文庫−裏表紙の紹介文

行方不明者を捜す専門部署として、警視庁に設立された失踪人捜査課――実態は厄介者が寄せ集められたお荷物部署。ある事件により全てを失い酒浸りになった刑事・高城賢吾が配属される。着任早々、結婚を間近に控え、なぜか失踪した青年の事件が持ち込まれるが……。待望の新シリーズ、書き下ろしで登場!


感想、みたいなもの

「8年」でデビュー以来、「鳴沢シリーズ」と「スポーツもの」の、ほぼ二本立てで作品を発表していた堂場瞬一ですが、2008年に「刑事・鳴沢了」が完結。

それまでも、「天国の罠」や「棘の街」など、単発のミステリーを書いてはいましたが、警察もの根幹をなす主力シリーズが終了。

当時の私は、堂場瞬一の著作を一冊も読んでいなかったので想像にすぎませんが、「鳴沢シリーズ」を読み続けていたファンは、充足感と共に、ある種の喪失感も覚えたのではないでしょうか。

年表的に見ると、その時点で「真崎薫シリーズ」が2作、「汐灘サーガシリーズ」が1作発表されていましたが、「真崎薫シリーズ」の第一作「蒼の悔恨」を読めば、お世辞にも「鳴沢了」に匹敵するシリーズになるとは思えないので、次なるシリーズが待ち望まれていたと思います。

そして、「鳴沢シリーズ」が完結した翌年、堂場瞬一が発表した新シリーズが「警視庁失踪課・高城賢吾」だったのです。

2009年から堂場瞬一を読み始め、堂場瞬一が、「今、最も好きな作家」となっている私ですが、未だ「鳴沢了シリーズ」を完読しておらず、「高城賢吾」を読むのは、その後と思っていました。



しかし、昨年暮れ、TVドラマ「警視庁失踪人捜査課」のスペシャルが放映されることを知り、急遽、読み始めることに。

「警視庁失踪人捜査課」が連続ドラマとして、2010年に放映されていたことは知っていましたが、幸か不幸か(幸に決まっていますが)目にしたことはありませんでした。

私は「小説の映像化」を全面否定はしていませんが、小説世界とかけ離れた映像作品が小説世界を侵食・破壊するのを見るのが嫌いです。

文章を読み、自らの創造力に任せ、小説世界を頭の中で構築し楽しむことが、本を読むという「知的行為」の本質だと思いますが、無遠慮にイメージ世界を押しつけてくる「映像の暴力」という「痴的行為」に、その楽しみを奪われないうちに読み始めておこうと思ったのです。

−−−−−

物語は、7年前のある事件(と言っても読めばすぐわかりますが)により心の傷を抱え、刑事として、人間としての拠り所を失い、酒浸りの生活を過ごしていた「高城賢吾」が、警視庁の失踪人捜査課へ転属となるところからスタートします。


※大きな表はこちら

失踪人捜査課は、その名の通り「失踪人」を探すための部署ですが、「失踪」は、殺人、強盗など、「明らかな犯罪行為」が発生していない、あるいは発生していてもわからないため、警察も積極的な捜査をしにくい事件です。

ただ、後になって「誘拐」「殺人」だったことが発覚するケースが多々あるため、「警察もちゃんと対応しています」という、マスコミや世間に向けた「アリバイ作り」のための部署という設定です。

従って、そこに配属される人たちも、警察内部のお荷物的な面々であり、いわゆる窓際族ということになるのです。

高城賢吾は、酒浸りに加え、煙草も吸うし、ジョークもとばす、(女にはユルいが)基本硬派な「鳴沢了」とはやや異なる感じのキャラクターです。

高城賢吾は、以前はバリバリの捜査一課員で、優秀な刑事であったと思われますが、室長の阿比留真由美に呼ばれる形で失踪人捜査課へ転属となります。

第一作では、どういう経緯で、阿比留が窓際部署の室長になったのかは描かれていませんが、彼女はここで何とか実績をあげ、警察内での返り咲きを狙っており、その切り札として、かつての同僚の高城を招き、彼を再生しようとするのです。

高城が抱える悩みは、すぐに明らかとなるのですが、基本的には「鳴沢タイプ」ですから、仕事熱心さは持っており、阿比留の狙い通り、徐々に自分を取り戻して行きます。

−−−−−

そんな高城とコンビを組むのが、女刑事の「明神愛美」。

かなり野心に燃えた女性で、希望していた捜査一課へ転属される寸前で、署内のゴタゴタの影響で飛ばされ、かなりクサッているところ、高城とコンビを組まされます。

相当に気が強く、人前でも平気で「馬鹿馬鹿しい」とつぶやく、口の悪いキャラですが、ありがちな、男女差別をテーマにするための「女刑事」というわけではなく、キャラ的には悪くない感じでした。

−−−−−

ストーリーは、近々結婚の予定があり、公私ともに順調に思えた男性の突然の失踪から始まり、徐々に事件の骨格が見え始め、その捜査の過程で、眠っていた高城の刑事魂に徐々に火が灯っていくというもので、読後感は中々良好でした。

高城と明神、そして、阿比留とのからみの場面もテンポが良く、本作ではさほど詳しくは描かれていない他の登場人物も、一癖も二癖もありそうな面々が控えていて、次作以降が楽しみです。

ただし、合コン好きのお嬢様刑事(またか!)、「六条舞」は不要なキャラだと思いますが…。

ということで、鳴沢シリーズが終了してガッカリしていたファンも、若干雰囲気を異にするものの、これで後継が出来たと思えたであろう、堂場作品の王道路線のシリーズだと思います。

個人的には、未読の「鳴沢シリーズ」が5作も残っていて、その他に「高城賢吾シリーズ」が6作あり、さらにシリーズ継続中というのは、かなり幸せな状況だと思います。

※2月23日に、「七つの証言 - 刑事・鳴沢了外伝 (中公文庫)」が発売されるというニュースが! 当然、小野寺冴も登場? と、さらに、嬉しい悲鳴を上げているところです。

−−−−−−−−−−−−−−−

第一作を読み終わった後の、高城賢吾のイメージは、やはり作者の堂場瞬一風の硬派な感じで、それは取りも直さず、鳴沢了のイメージに近いものでした。



ドラマでの高城賢吾は、沢村一樹が演じていますが、読みながら思ったイメージと、かけ離れた感じは特にしませんでした。まあ、こんな感じでしょう。

私は、「バラエティ系の俳優」が嫌いですが、どうやら沢村一樹も「エロ男爵」「セクスィー部長」と呼ばれていて、下ネタトークが好きらしいのですが、幸か不幸か(これも幸の方ですが)見たことはないので、沢村一樹を、見たイメージのままの「硬派イケメン」として認識できるので大丈夫だと思います。(まあ、高城賢吾には、少し軽いところもありそうなので、逆にいいのかもしれません。)

「俳優は完全に地を封印するべき」とは言いませんが、レギュラー化してそれをウリにするのはヤリ過ぎで、「本物の俳優」として不必要なことだと思います。

本作品とは全くの無関係ですが、最近、声優の「三ツ矢雄二」が、オカマキャラとして頻繁にバラエティに出ていますが、声優として、以ての外の「アホ行為」だと思います。

アニメの声を聞いて「三ツ矢雄二」の顔が思い浮かぶことが、どれほど興醒めか、声優のくせにまるでわかっていないのですね。

「三ツ矢雄二=インチキ声優」と、ここに断定しておきます。

さらに言えば、映画の吹き替えなどで、ジャニーズ系のジャリタレや、お笑いの人間が抜擢されることがありますが、あれも同様の理由で愚かな行為だと思います。

本当にやめて欲しい。

横道に逸れましたが、そういうわけで、沢村一樹は「本物の俳優」とは認めませんが、見た目の雰囲気は合っていると思うので、見た目も実際のキャラも違うという最悪パターン、「東直己の「〈俺〉と某泉某」に比べれば、全然マシ(というか悪くない)だと思います。



そして、高城とコンビを組む「明神愛美」は、森カンナという、聞いたこともない女優が演じていました。

調べてみると、モデル出身のようで、明神愛美役のオーディションに応募し、2298名の中から選ばれたとのこと。



こんな画像もありましたが、明神役では、ショートカットで、目つきも鋭い感じなのに、本当に、女は化けるもんだと思いますが、とりあえずイメージは悪くないと思います。

私が読んだイメージは、先日読んだ「蒼の悔恨」に登場する、お嬢様刑事「赤澤奈津」のイメージが残っていたのか、もう少し可愛い感じでしたが、どうも、私のイメージよりドラマ方が、雰囲気は近いのではないかと思います。

小説を全部読み終わるまで、ドラマを見る気がないのは言うまでもありませんが、まあ、悪くない配役だとは思います。

−−−−−−−−−−−−−−−



文庫書きおろしのシリーズなので、単行本はありませんが、何だか良く分からないという、「鳴沢シリーズ」の雰囲気を継承している感じの表紙です。

鳴沢シリーズの表紙は、「破弾」以外はショボくて好きではないので、いくら後継のシリーズだからといって、表紙も同じ雰囲気にすることはないのにと思います。


印象に残った言葉

私が五分で靴屋から出てくると、愛美が両目を大きく見開いた。

「こんなに早く靴を買う人を見たことがありません。」

「だったら今日が貴重な初体験だ。そもそも、足のサイズは簡単に変わるわけじゃない。選ぶのに時間をかけるのは馬鹿馬鹿しいだろう。」


−−−−−

高城賢吾と鳴沢了は、イメージ的に被る部分も多いのですが、決定的に違う部分として描かれているのが「靴」へのコダワリです。

「靴?」

言われて私は足元を見下ろした。泥で白く染まってしまっている。

「いいんだ。俺の靴は使い捨てみたいなものだから」


どうでもいいことかもしれませんが、ウイングチップやプレーントゥといった、トラディショナルな靴を好み、しょっちゅう靴を磨いている鳴沢了に対し、全く靴へのコダワリを見せない高城。

その対照的な姿が可笑しくて、思わず笑ってしまいました。



※ブログ内の関連記事(堂場瞬一)

堂場瞬一 / 著作リスト

(ブックレビュー / 警視庁失踪課・高城賢吾)
蝕罪

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※関連サイト

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堂場瞬一 with 中央公論新社
失踪課シリーズ|堂場瞬一 with 中央公論新社

朝日放送 警視庁 失踪人捜査課
テレビ朝日|警視庁失踪人捜査課スペシャル


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